top of page

【交通税と県議会の攻防・第22回】交通税の名称問題と造林公社690億円の教訓|令和6年2月定例会議 

加藤誠一議員(自民党)は、「交通税」という言葉自体に問題があると指摘しました。税制審議会の答申には「交通税」という文言はなく、正式には「地域公共交通を支えるための税制」であると述べ、「審議会の答申にあった正確な言葉で県民と議論すべき」と求めました。知事は「正しく意図が伝わるよう留意する」と応じましたが、その直後の答弁でも「いわゆる交通税」という表現を繰り返しており、実質的な変化は見られません。

今回のポイント


令和6年2月定例会議では、交通ビジョンに関する実質的な質疑に加え、滋賀県の財政運営における知事の判断力そのものを問う重大な議論が行われました。


加藤誠一議員(自民党)は、「交通税」という言葉自体に問題があると指摘しました。税制審議会の答申には「交通税」という文言はなく、正式には「地域公共交通を支えるための税制」であると述べ、「審議会の答申にあった正確な言葉で県民と議論すべき」と求めました。知事は「正しく意図が伝わるよう留意する」と応じましたが、その直後の答弁でも「いわゆる交通税」という表現を繰り返しており、実質的な変化は見られません。


そして、川島隆二議員(自民党)が取り上げた造林公社問題は、交通税の議論とは直接関係ないように見えて、実は知事の財政判断の信頼性を根本から問うものです。造林公社の債務は1,057億円にまで膨らみ、嘉田前知事のマニフェストでの「債権放棄要請」発言が公庫の態度を硬化させた結果、約定通りなら667億円で済んでいた返済が690億円に膨れ上がりました。県は782億円もの債権放棄を行い、残った188億円の債務も大部分が弁済不能という事態に陥っています。交通税という新たな県民負担を議論する前に、この財政運営の失敗を直視すべきではないでしょうか。



交通税議論のまとめ


2月定例会議・提案説明(2月14日)

知事は提案説明で、交通ビジョンの実現に向けて「(仮称)地域公共交通計画として施策の具体化を図る」と述べ、財源について「選択肢の一つである交通税について、広く負担を分かち合う仕組みとして検討を深めたい」と表明しました。「施策を実施する場合に、私たちの暮らしに起こり得る良い変化も具体的に示しながら丁寧な議論を積み重ねる」としています。

2月定例会議・本会議(2月19日)

加藤誠一議員(自民党)は、交通ビジョンについて多角的な質問を展開しました。

まず、「交通税」という言葉の使い方を問題視しました。税制審議会の答申には「交通税」という文言はなく、正式には「地域公共交通を支えるための税制」であること、また課税方式も「既存税目への超過課税を基本」とされていることを指摘。「知事の公約には交通税の検討とあったと思うが、ビジョンにおける財源の検討には審議会の答申にあった正確な言葉で県民と議論すべき」と求めました。

次に、2040年に向けた人口構造の変化について、国立社会保障・人口問題研究所の推計(滋賀県は13.5%の人口減、65歳以上の高齢化率36.7%)を示し、人口密度だけでなく高齢化率も重要な視点であると指摘しました。

観光面では、年間4,500万人の観光客が来県しているにもかかわらず、県の観光客入込調査に交通手段の調査項目がないことを問題視。「来県者から見た県の交通の利便性をはかることができない」と述べました。

ライドシェアについては、2024年4月から日本版ライドシェアが部分解禁されることを踏まえ、「公共交通の毛細血管を担う大きな役割がある」「早々に実験的にでも取り組んでみてはどうか」と提言。知事に具体的なスケジュールを求めました。

さらに、地域公共交通を支えるための税制の議論について「県の長期財政の見通しの議論も併せて行う必要があるのではないか」と指摘し、単年度の費用負担だけでなく、県全体の財政運営の中での位置づけを求めました。



造林公社問題が示す知事の財政判断


川島隆二議員(自民党)の質疑から



造林公社問題について質問する川島隆二議員

川島議員は、造林公社問題の全経緯を詳細に追及しました。交通税とは直接関係ありませんが、知事の財政運営に対する判断力と信頼性を測る上で極めて重要な議論です。

造林公社は琵琶湖の水源涵養と木材生産を目的に設立されましたが、木材価格の下落により債務が雪だるま式に膨らみ、1,057億円に達しました。嘉田前知事がマニフェストで「債権放棄の要請を強力に進める」と掲げたことで、公庫が態度を硬化させ、全額繰上償還を要求。県は財政再建団体への転落の瀬戸際に追い込まれました。

約定通りに返済していれば約667億円で済み、さらに国の利息免除等を活用すれば数十億円から100億円程度の軽減も見込めたにもかかわらず、結果的に県は690億円の免責的債務引受を行い、毎年約28億円を令和31年度まで返済し続けることになりました。加えて782億円の債権放棄も実施。そして今般、航空レーザー計測の結果、公社の伐採可能量は当初想定の3割程度しかなく、残りの188億円の債務も大部分が弁済不能と判明しました。

知事は「責任を痛感している」「約定通りなら少なくとも10億円以上の利子負担軽減効果があった」と認めましたが、川島議員は「事前に聞いた話だと数十億円から100億円くらい」と述べ、知事の答弁が過小評価であることを示唆しました。


参考:造林公社問題



知事や県側その他の答弁のまとめ


交通ビジョン関連


知事は、地域公共交通計画について、県内を6つの地域に分けてワークショップを立ち上げ、「交通税を含めた財源の在り方等の議論を重ねる」と述べました。令和7年度の計画策定を目指すとしています。

「交通税」の名称問題については「正しく意図が伝わるよう留意しながら、分かりやすく適切かつ丁寧な議論に努める」としましたが、同じ答弁の中で「いわゆる交通税」という表現を複数回使用しており、実質的な変更は見られません。

ライドシェアについては「導入が適していると判断できる地域で、関係者が連携して持続可能な形で取り組む」ものが「滋賀県版ライドシェア」であるとし、来年のわたSHIGA輝く国スポ・障スポに向けて「試行もできるよう挑戦したい」と述べました。

造林公社関連

知事は、債務が膨らんだ責任について「国、公庫、県それぞれに責任がある」と述べ、免責的債務引受については「財政再建団体に転落するという最悪の事態を回避するための当時の判断として、やむを得なかった」としました。


188億円の弁済不能見込みについては「造林公社を経営改善に導けなかった責任、下流府県と約束した債務弁済が難しい状況に陥ったことへの結果責任を痛感している」と認めています。



感想

加藤議員の「交通税」という名称への指摘は、言葉の問題にとどまらない本質的なものです。税制審議会の答申は「地域公共交通を支えるための税制」であり、「交通税」という分かりやすい言葉にすり替わることで、あたかも独立した新税が必要であるかのような印象を県民に与えています。知事は「留意する」と言いながら同じ答弁で「いわゆる交通税」を繰り返す。名称の問題一つとっても、県民との誠実な対話が成り立っているとは言い難い状況です。


そして、造林公社問題です。これは交通税とは別の話ですが、県民が知事の財政判断を信頼してよいかどうかを考える上で、避けて通れない問題です。

造林公社の経緯を整理すると、政治的なパフォーマンス(前知事の債権放棄マニフェスト)が公庫の態度を硬化させ、約定通りなら667億円で済んだ返済が690億円に膨らんだ。国の利息免除を活用していれば数十億円以上の軽減が見込めた。そして県は782億円もの債権を放棄した。さらに残った188億円すら返済不能。この一連の経緯は、行政の判断一つで県民負担が何百億円も変わり得るという現実を示しています。

知事は現在、造林公社の690億円の返済(毎年約28億円、令和31年度まで)を抱えたまま、新たに近江鉄道の上下分離(10年間158億円、うち県・市町負担116億円)が始まり、その上で交通税という新たな県民負担を議論しようとしています。造林公社問題の教訓は「行政の大規模な財政判断には、取り返しのつかないリスクが伴う」ということです。「逃げずに議論する」と言う前に、過去の失敗から何を学んだのかを県民に示す責任があるのではないでしょうか。




署名にご協力ください

交通税の導入に反対する署名活動を行っています。県民の声を届けるため、ぜひご協力をお願いいたします。

滋賀県減税会

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page