【交通税と県議会の攻防・第15回】ビジョン費用試算と税政の本音
- 喜多G13

- 4 日前
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今回のポイント
令和5年2月定例会議から3月の委員会にかけて、交通税をめぐる議論が新たな局面を迎えました。前回ご紹介した誘導アンケートから計画・試算した交通ビジョン骨子案とともに、目指す地域交通の実現に必要な費用試算が初めて公表されたのです。理想的な地域交通を「施策あり」で実現する場合の概算事業費は約88億9,500万円とされました。
この数字をめぐり、予算特別委員会では目片信悟委員(自民党)が「交通税が徴収されるけれども空気を運んでいるだけではないか、という話になっては元も子もない」と強烈な警告を発しました。
そして最も注目すべきは、公共交通特別委員会で九里学委員(チームしが)が税政担当に見解を求めた際、森本総務部管理監が「税ありきではない」「つくらないといけないという意識は少なくとも持っていない」と答弁したことです。推進側の九里委員の問いかけに対し、県の税政サイドが予想外の考え?を見せた瞬間でした。
さらに松本利寛議員(日本共産党)は「税負担までリーディングモデルにしないように」と釘を刺し、会派を超えた牽制が続いています。
交通税議論のまとめ
2月定例会議・本会議(2月14日・16日)
知事は提案説明で「交通税をはじめ、財源の在り方についても参加型税制の視点で議論を進める」と表明しました。
海東英和議員(自民党)は代表質問で、ビジョン実現に向けた財源確保について質問。「ビジョンで描く姿を実現することこそが重要であり、様々な施策と財源がなければ絵に描いた餅にすぎない」と述べ、先頃公表された大きな事業費を踏まえた財源論を問いました。「地域の交通は地域で守るという気概も必要」とも述べています。
田中松太郎議員は、費用試算の目的と今後の議論の進め方を質問しました。
予算特別委員会・土木交通分科会(3月7日)
目片信悟委員(自民党)が、県の公共交通支援の在り方に鋭く切り込みました。「地域の発展に欠かせない、観光や暮らしの役割が大きいと言うなら、単独でやっていけるのではないか。役割がないから補助しないといけないのでは」と本質を突き、「これで何を求めるのか、いつまでやるのか、その結果どういうことが想像されるのか」という具体的な説明を要求しました。
さらに「今後、交通税が議論される中で、徴収はされるけれども空気を運んでいるだけではないかみたいな話になっては元も子もない」と述べ、交通税導入後の費用対効果を数字で示すよう求めました。
予算特別委員会・土木交通分科会(3月7日)
渡辺管理監は、目片委員の追及に対し「地道な取組であり、劇的に利用者が増えるということは想定ができないのも事実」と率直に認めました。その上で、「今ある鉄道が鉄道のままでなければならないのか」「5人しか乗っていないのに30人乗りのバスを運行しなければならないのか」と、交通手段の見直しにまで踏み込んだ発言をしました。「費用負担が新たに発生するということであれば、交通税の理解にもつながっていくのでは」との認識も示しています。
公共交通特別委員会(3月13日)
交通ビジョン骨子案の費用試算について質疑が行われました。全てバスで対応する場合と、デマンド交通等の施策を組み合わせる場合の比較が示されました。
松本利寛議員(日本共産党)は、2040年代の交通環境の予測(無人バス、自動運転タクシー等)をビジョンにどう組み込むのか、また県間交通や広域交通をどう位置づけるのかを問いました。
桐田真人委員は、バス停まで行けない高齢者の存在を指摘し、「大量輸送とドア・ツー・ドアの個別輸送を分けて考えるべき」「タクシーの持ち味をもっと見出すべき」と提言しました。
九里学委員(チームしが)は、税政担当者に対し「この資料を受けて、税政のほうからどう感じているか」と直接見解を求めました。
松本利寛議員(日本共産党)は、県の取組が「全国のリーディングモデル」であるとの県側発言を受け、「リーディングモデルは大いに結構だが、税負担までリーディングモデルにしないように」と警告しました。
公共交通特別委員会の答弁
九里委員に問われた森本総務部管理監は「そもそも税ありきではない」「ひょっとしたら新しい税をつくることなくビジョンが策定できるかもしれない」「税をつくらないといけないなという意識は少なくとも持っていない」と答弁しました。税政サイドから交通税に対する慎重な姿勢が明確に示された形です。
渡辺管理監は、県の取組が「全国のリーディングモデルとなっている部分もある」と自負を示しつつ、国の施策との連動を強調しました。
知事や県側その他の答弁のまとめ
2月定例会議
知事は、ビジョン実現に向けた財源について「国の支援、民間投資等の活用はもとより、いわゆる交通税の導入についても参加型税制の考え方に立ち、丁寧かつ慎重に議論を積み重ねる」と答弁しました。また、費用試算の目的について「どれぐらいのサービス水準を目指すのか、そのためにどれぐらいの費用が必要となるかを示すことが不可欠」と説明しました。
感想
今回最も重要なのは、県の税政担当自身が「税ありきではない」「つくらないといけないという意識はない」と明言したことです。これは知事が繰り返す「参加型税制で議論を積み重ねる」という言葉とは明らかに温度差があります。交通税の推進は、県庁内部でも一枚岩ではないことが見えた瞬間でした。とはいえ、交通税ありきで進めているようにしか思えませんが。
目片委員の「空気を運んでいるだけではないか」という指摘も重要です。渡辺管理監が「劇的に利用者が増えることは想定できない」と認めている以上、新たな税を投じても利用者が増えない可能性は高い。それは「税金で空気を運ぶ」構図そのものです。
「鉄道が鉄道のままでなければならないのか」という管理監自身の問いかけは正しい方向ですが、それならばなぜ先に規制緩和やライドシェアといった民間の選択肢を検討しないのか。増税の前に、まず交通手段そのものの在り方を根本から見直すべきではないでしょうか。
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