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滋賀県知事選2026——交通税と「400件超のパブコメ」が示す民意


はじめに

2025年7月、滋賀県では知事選挙が行われます。現職・三日月大造知事が4選を目指して立候補を表明しましたが、2月19日の県議会代表質問では、各会派の現在の考えが表明されました。今回の知事選は単なる「誰が勝つか」という話ではなく、滋賀の交通政策・財政運営・民主主義のあり方そのものが問われる選挙になりそうです。


この記事は、京都新聞デジタルと朝日新聞大津総局の記事を拝読し、私が感じたことを書いております。



 

「交通税」への400件超のパブコメ—これは異例の事態!

まず、この知事選の最大の争点のひとつとなっている「交通税」について触れておきたいと思います。


滋賀県は、県内の公共交通を維持・充実させるための財源として「交通税(仮称)」の導入を検討してきました。これ自体は全国的にも珍しい取り組みで、一定の理念はあります。しかし、この政策に対するパブリックコメント(意見公募)には400件を超える意見が寄せられ、しかも反対意見が多数だったという事実は、非常に重く受け止めるべきです。

※現在、全文を情報公開請求しております


パブリックコメントに400件以上の反応が集まること自体、地方行政においては異例です。普通、パブコメは数十件から百件前後が相場で、関心の薄い政策ならひと桁ということも珍しくありません。それが400件超というのは、県民の間にそれだけ大きな関心と——そして懸念が——広がっているということを意味しています。


反対意見の主な声は、おそらくこういったものでしょう。

「収入が少ないのにさらに税負担が増えるのか」

「新税を導入する前に、既存の行政コストを見直すべきではないか」

「交通の便が悪い地域に住んでいるのに、なぜ私が払わなければならないのか」

——そういった切実な疑問や不満が寄せられているはずです。


今月の代表質問でも自民党の桑野仁議員が「衆院選では消費税減税など国民負担を下げる公約を掲げる政党が多かった。滋賀だけ新税で負担増につながる」と強調しました。この指摘は的を射ています。全国的に「家計を守れ」という空気が強まる中で、あえて新税を導入しようとする姿勢は、県民感情と大きくかい離するリスクがあります。


三日月知事は「丁寧に議論を進める」と答弁しましたが、数百の反対意見を前に「丁寧な議論」だけで乗り越えられるのか、疑問は残ります。パブコメの結果を政策にどう反映させるか——それが問われています。

 

 

最大会派・自民県議団が「交通税に反対」

自民党県議団は直近2回の知事選で三日月知事を支援してきました。それが今回、一転して独自候補の擁立を検討するといいます。「複数の名前が挙がっている」と県議が明かすほど、水面下での動きは本格化しています。


衆院選での自民大勝も大きかったでしょう。滋賀県内の3小選挙区を独占し、党としての勢いが回復したことで、知事選でも強気に出られる土台ができました。


そして、あまりに不公平な交通税への反発。増税への国民・県民の抵抗感は強く、その中で交通税を導入するのか?私共がお話しした自民党の県議はこうおっしゃいました。

「交通税にはもちろん大反対です!」

「そもそも、交通ビジョン自体も本当に県民のためになる中身なのかをしっかり検証する必要がある」と。

また、自民の桑野議員は2月19日の代表質問において「衆院選では消費税減税など国民負担を下げる公約を掲げる政党が多かった。滋賀だけ新税(交通税)で負担増につながる」と2月20日の京都新聞の記事の一部を引用)と述べられました。

 

さらに深い問題として、12月2日の桐田議員の代表質問にある「多選による政策判断の独善化」という指摘があります。


「首長が多選になれば無自覚なまま職員人事が固定化し、政策判断が独善的になる」

——これは単なる選挙向けの批判ではなく、地方自治の本質的な課題を突いています。

3期12年という長期政権は、それ自体がガバナンスのリスクをはらんでいるのです。

 


交通税反対ー滋賀維新の会

統一地方選の時から一貫して交通税反対の姿勢を崩さない滋賀維新の会は、国政での自民・維新連立を踏まえ「自民候補への協力はハードルが下がっている」と述べておられます。

 

 

他会派の現状—立憲惨敗の余波

一方、三日月知事を2014年から支え続けてきた「チームしが」(立憲民主党・無所属系)は、今回も支援の方向性を示しました。

 

しかし、立憲民主党が公明党と組んだ「中道改革連合」が衆院選で惨敗したことは、大きな影を落としています。今江政彦・立民県連代表は「どう影響が出るのか、慎重に考えないといけない」と語っておられる通り、党として全力支援できる状況にはありません。

 

公明党は現時点では「失政は見当たらない」と評価しつつも、支援するかどうかは「党内で議論する」と慎重な姿勢。


知事の支持基盤は想定以上に流動的な状況です。

 

 

さざなみ倶楽部と共産党ー対照的な安定と挑戦

三日月知事を支持してきた「さざなみ倶楽部」の清水鉄次代表は支援を明言、対照的に、共産党県議団の節木三千代団長は「大型事業優先ではなく、暮らしを応援する県政に変えたい」と意気込みを見せておられ、共産・労組系の団体が対立候補の擁立を目指しているという情報も聞いています。


なお、他にも2名ほどの立候補予定者がおられると伺っており、今後の立候補予定者の調整が気になるところです 。

 

 

この選挙の本質的な問いとは

7月の知事選は実質、「三日月氏か、自民系新人か」という対立構図になると予想していますが、その背後には複数の本質的な問いが潜んでいます。

 

第一に、新税導入を県民は本当に受け入れるのか。 400件超のパブコメに寄せられた多くの反対意見は、単なる「反射的な増税嫌い」ではないはずです。公共交通の維持は重要な政策課題ですが、その財源を新税で賄う必然性があるのか、県民が納得できる説明があったのか——根本から問い直す必要があります。交通ビジョンも、本当に進めても問題がないのか、良い事ばかりなのか?県がほぼ説明していない本質的なデメリットも考慮せねばなりません。

 

第二に、長期政権の功罪をどう評価するか。 12年という在任期間の中で、三日月県政が滋賀にもたらしたものは確かにあります。一方で、組織の硬直化や「物言えぬ雰囲気」が生まれていないか、有権者は冷静に見極めなければなりません。

 

第三に、民意はどこにあるのか。 議会での駆け引きや会派の思惑に左右されず、「県民にとって何がベストか」を真正面から問う選挙にしてほしいと思います。そのためにも、各候補が交通税を含む政策課題について明確な立場を示すことが不可欠です。


また、三日月知事は造林公社問題と対中姿勢をどう総括するのか。 三日月知事が理事長を務める滋賀県造林公社が180億円超の巨額債務を抱え、県がその債権を全額放棄して事業廃止・解散の方針を打ち出したことは、県財政にとって重大な問題です。木材価格の長期低迷により事業の枠組みが事実上破綻し、2011年には下流自治体などが956億円もの債権放棄を行った特定調停が成立。その後も毎年約2億円の運営費を拠出し続けてきたにもかかわらず、債務の完済見通しは立たないとされています。県民の税金がこれだけ投じられてきたにもかかわらず、この問題への知事の責任の所在は十分に問われてきたとは言えません。

 

また、三日月知事は2025年11月、日中関係が緊張する中にあって中国・湖南省を訪問し、中国共産党の省委員会書記と会談。帰国後の会見では、日中対立が「対話や連携の可能性を阻害する」と述べ、中国との連携強化を強調しました。台湾有事への懸念が高まり、国全体が対中政策を慎重に見直している時期に、県知事が独自に親中的な行動をとることへの県民の違和感・反発は決して小さくありません。経済的な県益を守ろうとする姿勢は理解できる一方で、安全保障上のリスクや国の外交方針との整合性について、より丁寧な説明が三日月知事は求められているのではないでしょうか。

  

 

おわりに

6月18日の告示まで4カ月を切りました。各会派の動きはこれからさらに激しくなるでしょう。しかし、最終的に投票するのは私たち県民一人ひとりです。

400件を超えるパブコメの声は、決して小さな声ではありません。

それは、行政の方針に「待った」をかける私たち県民や国民の意志表示です。

 

知事選という機会を通じて、滋賀県の交通政策・財政・そして民主主義のあり方について、広く議論が深まることを期待しています。


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