12/2 桐田真人・自民党県議の代表質問とその答弁(交通税関連部分)
- 喜多G13

- 12 分前
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桐田議員の質問は、いずれも感情論ではなく、人口動態、公平性、財政検証、議会軽視の問題まで整理して真正面から突いた、極めて筋の通ったものでした。県民負担を軽く扱わず、制度の前提条件そのものを問い直した姿勢は、まさに議会に求められる役割を体現していると感じます。
長くなってしまいますので、その中でもまずは交通税に関する部分を取り上げたいと思います。ただ、その前段で桐田議員が問われた病院経営や造林公社の問題は、県政の根幹に関わる大事なテーマであり、知事の姿勢を知る上でもとても重要な内容でした。あの指摘があったからこそ、今回の議論全体の流れがより明確になったと感じています。
ぜひ、桐田議員の全質問をご視聴ください。
↓文字起こしが間違っていたら申し訳ございません。
【質問①】滋賀地域交通計画といわゆる交通税について
知事はいわゆる交通税の議論を、税制審議会や地域交通計画の策定過程を通じて進められているところであります。知事の政治家としての信念に基づく政策提案については一定理解をします。しかしながら本県は、人口の増加傾向が続いているJR琵琶湖線沿線の湖南エリア地域と、減少傾向が一段と強まっている地域との間において、人口分布の二極化・減少が進んでいます。この現状において交通税の負担を考慮した場合、税負担と利用者の世代間・地域間の不一致など、租税の原則である公平の原則・明確の原則の点で多くの課題が内在するものと考えます。
同時に、根拠に乏しく一貫性のない情報により、新たな税負担に係る不安や誤解が多く存在しており、これらの困惑は県民の声として我が会派に届いております。そもそも県財政全体の歳入確保や歳出削減といった財政的な検証を行うことなく、県民への新たな負担を求める新税の導入について言及を重ねていることに対して、疑念を抱かざるを得ません。また、二元代表制の一翼を担う議会に対して、いわゆる交通税に係る説明が正式にないまま手続きが進められていることに対する妥当性について、強い懸念を伝えます。さらには10月15日の県議会地方創生公共交通対策特別委員会における委員からの滋賀地域交通計画策定に関する質問に対して、当局からは納得できる答弁はなく、委員長から「今年度末の計画策定に黄色信号が灯っているのではないか」との懸念が示されたと側聞しております。
いわゆる交通税はもちろん、その議論の前提となるはずの滋賀地域交通計画策定の議論が展開されるたびに、委員の疑義が増幅している現状がうかがえます。県庁内において、いわゆる交通税や滋賀地域交通計画に対する理解や意義への認識に差異があるのではないかと心配をしています。そこで、滋賀地域交通計画と、いわゆる交通税を含む財源の在り方について、知事の認識を問います。
私:よく聞いてくださいました。議題にまともに乗せず勝手に進めてから今年度末に具体案を出すのは県民に対して不誠実です。それに、反対も賛成も、「近江鉄道の為だけ」と思っている県民も多すぎます。実際はバスなども含めるから100億超の計画になってるんですよね。
【知事答弁①】
滋賀地域交通計画では、2040年代を見据えた地域交通将来デザインとして、地域交通軸となる鉄道線およびバス路線について目指す運行本数を明記し、それを関係者が共有して、それぞれの役割を果たすことで、将来の実現を目指してまいりたいと存じます。大切なことは、より良い暮らしを実現するために、移動や公共交通の面で必要な施策は何なのか、そしてそのために必要な費用はどれぐらいなのか、それを誰がどのように負担するのかについて、みんなで一緒に考えていくことであり、そのことは自治の視点からも大変重要な取組であると考えております。広域交通も含めた本県の地域交通の在り方について、具体的にどういった施策のためにどのような負担をお願いすべきなのか、丁寧に説明と議論を積み重ねてまいりたいと存じます。
【質問②】
滋賀地域交通計画では、目指す姿としてJR線の増便など具体的に示そうとされています。しかし鉄道会社が抱える不採算の路線や運転士不足等の経営課題を考慮すると、現状の維持も難しい状況にあります。増便はさらなる経営的な負担を交通事業者に強いることにつながります。では一体どのようにJR線等の増便を実現しようと考えておられるのか、知事の認識を問います。
私:交通事業者に負担を強いないために交通税で補填というのも限界がありますよね。
【知事答弁②】
どのようにJRの増便を実現するのかという点についてでございますが、地域交通計画では2040年代を見据えた地域交通将来デザインとして、地域交通軸となる鉄道線およびバス路線について目指す運行本数を明記し、それを関係者が共有して、それぞれの役割を果たすことで、将来の実現を目指してまいりたいと存じます。計画期間の5年間に実施する施策といたしましては、まず市町が運行するコミュニティバスやデマンド交通等の充実・高度化への支援、使いやすい運賃体系の構築、バリアフリー化のさらなる促進等の利便性向上など、地域交通の利用者数を増やすことに力を注ぎ、交通事業者が増便を決定できるような環境を整えてまいりたいと存じます。併せまして、事業者とも連携しながら鉄道や路線バスの増便に向けた実証の検討も行うなど、2040年代を見据えながら将来デザインへと近づけてまいる所存でございます。
【質問③】県境と税負担の是非
仮にJR線のように県境をまたいで運行している事業者の経営的な負担の軽減をするために県民に税負担を求めることは、租税の原則に照らして到底理解することはできません。事業者の経営的な負担の軽減のために県民に税負担を求めることについて、知事の認識を問います。
私:これは普通に多くの滋賀県民も疑問です。SNSでは「滋賀は関所でも作るつもりか?」なんて声もありましたね(笑)
【知事答弁③】
事業者の経営的な負担の軽減のために県民に税負担を求めるのかという点についてでございますが、交通事業者を守ることを目的として経営を直接的に支援するために、県民の皆様に新たな負担をお願いすることは、ご理解をいただくことが難しいのではないかと考えております。一方、通勤や通学などで県境を越えて移動している県民もおられることから、県境をまたいで運行していることのみをもって、県税を財源とした事業の対象にふさわしくないとは考えておりません。大切なことは、より良い暮らしを実現するために、移動や公共交通の面で必要な施策は何なのか、そしてそのために必要な費用はどれぐらいなのか、それを誰がどのように負担するのかについて、みんなで一緒に考えていくことであると考えており、そのことは自治の視点からも大変重要な取組であると考えております。
【質問④】市町との役割分担と負担の在り方
地域交通の維持・充実に向けた施策は、これまで市町が主体的に担い、それぞれの地域に応じた創意工夫の下で取り組みを進めてこられました。このことを踏まえれば、県の計画で定める施策であっても県だけで実施することはできず、市町の協力は不可欠であります。市町との適切な役割分担が必要であると考えますが、施策実施の際に市町に対して財源の負担を求めていかれるのか、市町との役割と負担分担について、知事の認識を問います。
【知事答弁④】
市町との役割分担、財源の負担割合についてでございます。施策の役割分担につきましては、大きくは広域行政である県は交通軸をはじめとする県域全体のグランドデザインを描く役割を担い、最も住民と近い市や町は地域内を移動する交通網を主に担うものだと考えております。また、人々の移動は市町域を超えて行われることから、例えばデマンド交通の広域化に向けた調整や、複数市町による共同の取組に対する重点支援などは県の役割であると考えており、計画の中にも位置付けていくべきではないかと考えております。施策実施のための県と市町との負担割合につきましては、市町の果たす役割の重要性や、税制審議会や地域交通活性化協議会での議論、また県議会議員の皆様方の様々なご意見等も踏まえ、市町との丁寧な調整を行いながら、適切な負担割合を検討してまいりたいと存じます。
私:6月の税制審議会では“市町税にする案”まで話題に出ていましたね。税として制度化すれば、その税収は交通施策に使わなければならず、市町は計画の策定や実行のために新たな事務負担や費用負担が生じます。もし県の交通ビジョンが市町に押し付けられ、その結果として交通税では埋まらない赤字が発生すれば、市町も住民もかえって苦しむのではないでしょうか。
【質問⑤】交通ビジョン財源と交通税について
地域交通の充実のための財源として、いわゆる交通税を検討するとの姿勢を示されています。これまで県は新たな取組の検討の際には、将来の財政収支を見込みながら県の既存の財政状況を検証し、慎重に検討されてきたと認識しています。ではなぜ滋賀地域交通計画に限っては違うのか。地域交通の充実が県政の重要課題なのであれば、優先的に財源が充当されるはずです。県民に税負担を安易に求め頼るのではなく、まずは既存の財政の中でできる限りの検証が必要ではないでしょうか。ビジョンの描く2040年代を見据えて、既存の県財政からどれほどの捻出を想定されておられるのか、知事の見解を問います。
【知事答弁⑤】
10月20日の税制審議会からの答申におきましては、新たな税を導入する場合の使途について、地域交通の充実のための施策に重点化することが望ましいとされたところでございます。今後、人口減少の進展や物価上昇を踏まえますと、地域交通を維持することにも大きな負担増が見込まれるところであり、運賃の見直し、新たな国費の獲得、新たな支援スキームの構築に向けた国への提案・要望などを行いますとともに、現行の税収を基盤とする既存の財源で対応する努力が必要であると考えております。
また、本県の財政状況は、100億円前後の恒常的な財源不足に加え、社会保障費や公債費等の義務的経費が増加基調となる厳しい見通しでありますが、毎年度の予算編成を通じた不断の見直しなどにより、財源確保に努めてまいる所存でございます。
私:財源が足りないと言われても、そもそも県が何にどれだけ使っていて、無駄がないのかを県民にきちんと示していません。説明責任を果たさないまま『不足しているから新税を』と言われても納得できません。県がどれほど工夫し、どれほど無駄があるのかも分からない状況で、交通税の是非だけを県民に問うのは筋が通らないと思います。
【質問⑥】知事の姿勢
いわゆる交通税の議論については、これまで正してきたように課題が多く内在するものと考えます。このような中で、知事は任期中にいわゆる交通税を何としても導入・制度化されたいのか、知事の認識を問います。
【知事答弁⑥】
地域交通計画や財源の在り方については、これまでから県議会や県民の皆様から様々なご意見をいただいてきたところでございます。フォーラムやワークショップの開催などを通じて多くのご意見もいただいております。
先週11月26日に、新たな税のふさわしい制度について税制審議会に諮問を行いましたところ、公共交通は生活の基盤であり、利用する人もしない人にも便益があるというご意見や、新たな税の税収規模や必要性が伝わりにくいというご意見もいただいているところであり、計画づくりや税制の議論に取り入れてまいりたいと存じます。
私:本当にふわっとした答弁ですね。何をおっしゃっていても、参加型税制と言いながら結局意見は聞いたふりで「県民の理解を得た」としようとしているようにしか見えません。だからこの質問なのに、かわされていますね。逃げずに回答していただきたかったです。
まあ、「交通税ありきですよもちろん!」なんて言えないでしょうが。
感想
今回の桐田議員の代表質問と答弁を通して、やはり「交通税ありき」で議論が進んでいる印象を強く受けました。知事は「みんなで負担を考えることが大事」「公共交通は利用しない人にも便益がある」といった抽象的なフレーズを繰り返していますが、一番肝心な「既存財源の中でどこまでやれるのか」「どの支出を削って交通政策に振り向けるのか」という具体的な優先順位の話は、最後まで示されていません。
ふわっと本質的なところを避けているかのような答弁に終始しています。
また、「事業者の経営を直接支えるために新たな負担をお願いするのは理解を得にくい」としつつ、一方で県境をまたぐJRへの支援を、理屈の上では県税で賄うことも否定していません。ここに、県民の不安をなだめつつ、将来の増税の余地だけは残しておきたいという意図が透けて見えます。質問では、人口の二極化や利用と負担の不一致、公平性・明確性といった租税原則の問題がはっきり指摘されていますが、答弁は「将来デザイン」「みんなで考える」といった言葉で包み直しているだけで、論点には真正面から答えていません。
市町との役割分担や負担割合についても、「丁寧に調整しながら適切な負担割合を検討する」と述べるにとどまり、県としてどこまで財政責任を負うつもりなのか、その前提としてどれだけ歳出削減に踏み込むのかは示されていません。このままでは、県の描いた「将来デザイン」を盾に、市町と県民に新たな負担だけが押し付けられる構図になりかねないと感じます。
本来、人口減少と財源制約が明らかな中で求められるのは、「どこまで公がやるのか」「どこから先はやらないのか」という線引きを含めた、痛みを伴う選択です。しかし知事の答弁から伝わってくるのは、そうした選択を避けたまま、新税という“別口の財布”を用意して話を進めたいという姿勢です。私は、このようなあいまいな前提のまま交通税の制度設計に進むことには、強い危機感と違和感を覚えます。
この交通税以外のご質問でもありましたが、3期も続けて来られた三日月知事。
それにより起こっている県政の膠着は決して滋賀県民にとって良い事ではありません。
4期続けられた知事は過去におられません。
また、「3期で出来なかったこと変えられなかったことはその後も出来ない」と言いますし、「議員や首長は2期8年までが良いのでは?」という話もちらほら出てきているのが今の日本です。
三日月知事には次回の選挙に出馬なさらないことを求めます。
素晴らしい質問をされた桐田議員、自民党県議団の皆様、ありがとうございました。



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