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滋賀地域交通計画(原案)2026.3verに対する意見

滋賀地域交通計画(原案)2026.3verに対する意見

ChatGPTにサムネイル作ってもらうとかなり派手になりますね(;'∀')


 


今回はざっくりとした内容になります。


1. 過大な計画に対する批判点

効果試算の数字が根拠薄弱で過大に見えます。 

2040年代に「地域交通将来デザイン」が実現した場合の便益として、渋滞緩和78.57億円/年、可処分所得増590億円/年、広域通勤者確保640.4億円/年、観光消費増38.0億円/年といった巨額の効果を掲げていますが、これらの前提となる「自家用車から地域交通への転換」は、令和4年の県民アンケートによる「地域交通選択確率」から年間1,460万人が転換するという推計に依拠しています。


「まあ、20~30分に1本あれば車じゃなく公共交通にしてもいいかな?」って私もその該当アンケートでパッと回答しましたが、本当に車を手放すかどうかは改めて現実的に考えるとまた別なのです。彦根や東近江から家族でイオン草津に行く場合、家から最寄り駅に行く場合、車が一番便利で速い上に、全員の運賃を考えると一番安く済む手段ですから、仮に目の前にバス停があっても選びません。数分でも歩くならなおさら。さらに、家におじいちゃんおばあちゃんがいるならもう車一択です。


そのように、アンケートの選択意向と実際の行動転換は全く異なるものであり、地方圏で自家用車依存率が約8割という現実を踏まえると、この転換規模は極めて楽観的です。


 

自家用車13.4万台削減という前提も非現実的です。

 計画書自身が認めるように、自家用車はドアツードアで自由に快適に移動できる手段であり、1時間2本程度のバス増便で13.4万台もの自家用車削減が実現するとは考えにくいです。しかもこの削減により自動車産業の売上が252億円/年減少し、県外への労働力流出で787億円/年の損失が生じるという「負の影響」を自ら認めており、便益と損失を相殺すると計画の正当性自体が大きく揺らぎます。

「目の前にバス停があっても乗らない」という人もいますし、車を完全に手放して、あるいは減らしての生活を選択する人が、そんなに増えるものなのでしょうか?


 

2040年代という長期目標と5年間の計画期間の乖離が著しいです。

 2030年度時点の目標はバス路線2~3路線の増便モデルケースにとどまり、2040年代の壮大なビジョンとの間に巨大なギャップがあります。5年間で実現できる具体的成果と、掲げているビジョンの規模感が合っていません。

 


2. 稚拙な計画に対する批判点

県拠出額の見積もり幅が異常に広いです。 

令和12年度の単年度拠出額が28.7億~58.0億円と、最小値と最大値で約2倍の開きがあります。国庫補助率が未確定、県と市町の財源割合が未決定という状態のまま計画を策定しており、実質的に「いくらかかるか分からない」計画と言わざるを得ません。特にNo.23「コミュニティバス等路線バスの充実・高度化」は5.4億~21.6億円と約4倍、No.29「バス・タクシー等の運賃負担軽減制度の導入」は1,800万~6億5,900万円と約36倍もの幅があり、事業設計が全く固まっていないことを示しています。


KPIの設定が甘いです。 

地域交通の不満足度を67.7%から50%に改善するという目標を掲げていますが、その実現手段の中心が2~3路線のバス増便では不十分です。また、路線バス運転士不足52人を0人にする目標を掲げながら、運転士の待遇改善に充てる県拠出額は1.1~1.7億円程度で、52人分の年間給与増をまかなうには心もとない規模です。


「検討」「研究」にとどまる事業が多すぎます。 

No.19「鉄道の増便実証の検討」、No.31「駅前広場の整備の検討」、No.33「新駅の検討」、No.38「LRT/BRTの研究」、No.39「運輸連合の研究」、No.40「MaaSの研究」など、概算拠出額すら計上されていない「検討」「研究」段階の事業が多く含まれています。5年計画として具体性に欠けます。


公論熟議プロセスへの過度な依存があります。 

ワークショップ、フォーラム、アイデア会議など対話型プロセスに多くのページを割いていますが、参加者は自発的に集まった層であり、代表性に疑問があります。フォーラム参加者350名超の意見をもって県民140万人の合意形成とすることには無理があります。それにやっても意見聞いてないじゃないですか(笑)


 

3. 増税に対する批判点

第6章の「新たな財源の検討」は事実上の交通税導入への布石です。 

「新たな税」について税制審議会に諮問中であること、中間答申の機械的試算を参考資料として掲載していることが明記されており、計画書に掲載された公論参加者の意見の中にも「交通税導入というゴールありきで話が進んでいるように感じる」という批判がそのまま載っています。

 

受益者負担の原則が無視されています。

 計画書は「地域交通の維持・充実による受益は利用者のみにとどまらない」として広く県民に負担を求める論理を組み立てていますが、県民の約8割が日常的に自家用車を利用している現実において、利用しない交通サービスの費用を負担させることは、受益者負担の原則に反します。計画書に収録されたフォーラム参加者の意見でも「サービスは受益者負担が原則」「利用者でもない人間の財布を当てにするのは事業としてどうなのか」という指摘が出ています。


既存の歳出構造の見直しが不十分なまま新税を検討しています。 

第6章で「不断の事業見直し」「優先順位をつけた事業実施」を挙げていますが、具体的にどの事業をいくら削減するかの記載は一切ありません。既存事業の削減・廃止を示さないまま「数十億円単位の費用を1~3の取組のみで賄うことが困難」と述べて新税の検討に移る構成は、増税ありきの論理構成です。


人口減少・生産年齢人口減少下での増税は負担感が加速します。

 計画書自身が人口減少と生産年齢人口の減少を認めています。税を負担できる現役世代が減少する中での新税導入は、一人当たりの負担が年々重くなることを意味しており、計画書はこの点についての試算を行っていません。


4. 歳出削減の視点での批判点

既存バス・鉄道維持補助が最大の固定費です。 

No.8「地域間幹線の運行維持」だけで年間9.9億円、No.9「コミバス運行維持」1.67億円、No.10「デマンド交通運行維持」6,000万円と、維持だけで年間12億円超が投入されています。路線ごとの収支率や乗車密度による厳格な撤退基準を設けず、一律に維持するのは非効率です。KPIで幹線5路線の収支率改善を掲げていますが、収支率の目標値すら設定されておらず「R7収支率以上に改善」という曖昧な表現にとどまっています。


イベント・広報・啓発系事業に費用対効果の検証がありません。

 No.1~No.7のイベント・啓発系事業で合計約7,000万~1.3億円を毎年支出する計画ですが、利用者増への定量的な因果関係の検証が示されていません。特にNo.7「滋賀の地域交通未来アイデア会議」に1,560万円を毎年支出する必要性は疑問です。


コミバス・デマンド交通の「充実・高度化」(No.23~24)に最大25.6億円は過大です。 

現状の維持コストが年間2.3億円であるところに、充実分として5.4~25.6億円を上乗せする計画は、人口減少下の費用膨張リスクが極めて高いです。利用者が増えなかった場合の撤退条件が示されていません。


運賃支援(No.29)の1,800万~6.6億円という幅は制度設計の不在を示しています。 

運賃を下げれば利用者が増えるという前提自体が検証されておらず、減免対象範囲の設定次第で費用が際限なく膨張するリスクがあります。


道路整備予算との整合が不透明です。 

計画書に収録されたフォーラム参加者の意見にもある通り、道路整備に投じている膨大な予算の一部を公共交通に振り替えるという選択肢の検討が一切ありません。新規予算を積み上げるだけでなく、既存の道路関連予算との優先順位の比較が必要です。


5. 費用対効果が見込めると思われる施策

以下は相対的に低コストで効果が期待できるものです


No.26「ライドシェアの導入検討・実装化」は、運転士不足への対策として検討に値します。 計画書に収録された参加者意見でも「税負担を増やさずに選択肢を増やせて、大したデメリットもないのに導入が進まない理由がわからない」とあり、民間活力を活用する点で方向性は妥当です。

 


鶴岡市の事例(車両小型化・多頻度化)は参考になります。

 計画書内の参考事例として紹介されている山形県鶴岡市の路線再編は、大型バスを小型化して頻度を上げるという手法で大幅な利用者増を達成しており、大規模インフラ投資なしで効果を出す方法として優先的に検討すべきです。


 

総括として

 この計画は2040年代の壮大なビジョンと5年間の具体的行動計画との間に大きなギャップがあり、効果試算は楽観的な前提に依存し、費用の見積もりは確定していない項目が多く、新税導入への道筋が暗に組み込まれた構成になっています。まずは既存路線の合理化・効率化、デジタル化、ライドシェア等の民間活力活用といった低コスト・高効果の施策を優先し、その成果を検証した上で段階的に投資規模を拡大するアプローチが妥当であり、効果検証なしに「数十億円単位」の財源確保を前提とする計画の進め方には根本的な見直しが必要です。

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