「交通税」という名前はなぜ消えたのか ― 県の議事録が示す“これから”
- 喜多G13

- 7月26日
- 読了時間: 7分

滋賀県が全国で初めて導入を検討している、いわゆる「交通税」。最近、県の資料や知事の発言で「交通税」という言葉があまり使われなくなったことにお気づきでしょうか。
その背景が、県自身の公式記録に書かれていました。2026年5月11日に開かれた第29回滋賀県税制審議会の議事概要(交通税部分)です。今日はこの一次資料から見えることを、県民の目線で整理します。
出典:第29回滋賀県税制審議会 議事概要(2026年5月11日開催)/滋賀県https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5616797.pdf
会議の基本情報
第29回滋賀県税制審議会/2026年5月11日(月)15:00〜16:55/WEB開催
出席委員:川勝・佐藤・勢一・松田・諸富(会長)/欠席:齊藤委員(事前意見を提出)
県側:三日月知事、総務部、交通まちづくり部(今年度新設)、琵琶湖環境部
知事の冒頭発言
議題は「移動を支える新たな税」の検討状況の報告と今年度の審議スケジュール。3月4日に中間答申を受け、3月末に地域交通計画を策定済み。
組織改正で土木交通部を県土整備部と交通まちづくり部に再編。交通戦略課+都市計画課→交通まちづくり政策課に。「交通とまちづくりは一体で議論すべき」との審議会指摘を反映。
名称についての決定的な発言:県議会から決議を受け、「『交通税』というものが少し前面に出過ぎた」「何のために財源を作るのかの理解が不十分」だったため、『交通税』だけに固執せず、丁寧に議論を積み重ねよという趣旨の指摘を受けた、と知事自身が説明。
→ これが「交通税」という言葉を引っ込めている一次資料の裏付けです。ただし税そのものを撤回したわけではなく、財源議論は継続。
各委員の主な発言
佐藤委員(財政・租税competition専門)
いきなり税の話をすると引かれる。財源は①既存事業の見直し②事業者収入③国補助金、それでも足りない分が新税、という順序と「財源確保と公共交通の維持・充実は必ずセット」を担保すべき。
「維持」の財源と「充実」の財源は切り分けて議論せよ(消費税の社保・税一体改革と同じ)。
全県で充実は人口減で不可能。維持すべきエリア/当面維持/対象外の3種に色分けを。津々浦々の充実は「政治的アピール」だが財源が持たない。
企業に負担を求めるならEBPM・ロジックモデルで数字を示せ。「経済に裨益」だけでは理念論。
⭐️ 税目の指摘:均等割はインフレに追いつかない→個人は所得割、法人は法人税割か事業税の方が伸長性あり。
勢一委員
交通計画が始動し「走りながら県民全体で考える」段階に。組織改正は県の県民・企業へのメッセージ。
「選択と集中」「拠点性の強化とネットワーク」でまちづくりと重ねて進捗を見せるべき。可視化・情報発信を。
川勝委員
最大の関心は「既存予算のやりくりでどこまでできるか」。やりくりを無理すると他分野の事業に影響。どこかで線引きが必要。
「交通税」のようなものを導入するなら「なぜ必要か」の共通認識を繰り返し持ち続けよ。意義は(1)交通だけでなく教育・医療・環境も含めた生活を支える安定財源(2)税の議論を通じた県の自治力の涵養(=これだけ多様な人が県政を話題にしたことはない)。
松田委員
事業リストは上がっているのに財源があやふやな部分が残っていることをかなり心配。
各市町がこれまで何をやってきたかの情報共有を前提にすべき。住民から革新的アイデアを。
法人事業税の超過課税は8都府県のみ(宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・京都・大阪・兵庫=大都市中心)。滋賀県企業の競争力への配慮が必要。不均一課税をどうするかも要検討。
諸富会長
令和8年度の新しさは実証的な事業の開始。理論と実証の相互作用フェーズに入る。
企業との対話が新たに始まる意義大。負担要請だけでなく企業の公共交通ニーズ(通勤・業務輸送)の聞き取りの場に。
事務局・知事の回答(今年度の進め方)
税政課:新財源は引き続き議論する一方、地域交通は喫緊なのでできるところから走り始める。計画には43施策、初年度から全部やるのではなく時間差あり。「優先順位」という言葉が誤解を招くので説明を丁寧に。
安定性が新税検討の重要キーポイント。
知事の4点まとめ:
交通事業者・利用者だけでなく福祉・まちづくりの視点をより強く打ち出す。「この4〜5年『交通税』がやや独り歩きした」と改めて言及。
計画の5年ロードマップで進む。財源が心もとない指摘は甘受しつつ「まず進み始めて足りない分を工面」。
今年度はより強力に対話。北部・南部では広すぎ→市町単位、企業との対話も充実。知事の選挙期間中はできないので、まず交通まちづくり部の幹部総出で。
税ありきではなく慎重・丁寧に。実務的な積み上げをして「いざという時に責任あるものを提示」。
近江鉄道:ICOCA導入で乗客が前年比3%以上増(沿線人口減の中で)。
スケジュール確認事項
タウンミーティングを19市町で実施(今年度)
モデル事業を2〜4市町で選定・実施(今年度)
企業との意見交換を今年度から開始
この議事録には「導入は◯年度」という明確な期限の言及はなし。「引き続き議論」「走りながら」が基調。

今年のタウンミーティングイベント

以上が議事録まとめとなります。
減税会より
議事録が示したのは、次の3点です。
「交通税」という名前は変わっても、新税をつくる議論は着実に前へ進んでいる
審議会では課税方式・実証事業・企業対話まで具体化が進んでいる
「まず400円」で終わらず、課税方式が重くなる可能性がある
推進の準備は進んでいますが、導入時期はまだ固まっていません。つまり、今ならまだ立ち止まれるのです。

今回、県は「財源の話はいったん置いて、どんな公共交通が必要かを対話していく」と言っています。
しかし、「あったらいいな」という要望と、本当に必要なものとの間に、ずれが生まれるのは当然です。財源という歯止めを外して「どんな交通がほしいか」だけを聞けば、出てくるのは「もっと便利に」という声ばかり。これは結局、交通の拡充を進め、交通税を導入したい県が、そのために欲しい意見を集める場になっていないでしょうか。
「まずは既存の財源でやってみて、足りなければ交通税。交通税ありきではない」――言葉だけ聞けば、もっともらしく聞こえます。
でも、これまでのアンケートやパブリックコメントで県が見せてきた不誠実な進め方(参照)を思えば、「交通税を導入したい」という結論が先にあるとしか思えません。その言葉を信じるのは、いい年をしてサンタクロースを信じるようなものです。
きっと最後は、こう持っていくのでしょう。「既存の財源でできないか頑張ってみた。でも、やっぱりみんなの声に応えるには交通税が必要だった」と。
便利になるのは、良いことです。でも、すべてにお金がかかります。 そして、そのお金は必ず誰かの負担です。
国のお金も、県のお金も、もとをたどれば住民のお金であり、他県の人が納めた税金です。「財源はどこかにある」わけではありません。
滋賀の地域交通ビジョンには、行き過ぎた計画だと言わざるを得ない部分もあります。たとえば近江鉄道。鉄道として残す必要はあるとしても、線路部分をバス専用道路にするといった新しい案を検討しないまま、上下分離で存続させる方針には、県議や地域の方々からも疑問の声が上がっています。
※誤解のないよう記しておきます。交通税は近江鉄道だけの財源ではありません。バス、湖上交通、自動運転、ライドシェア、オンデマンド交通まで含めた、あらゆる交通拡充の財源として使われるものです。
交通税と交通ビジョンを進めること。それが知事の願いです。
財源への意識がないまま「どんな交通がほしいか」だけを語らせることは、その知事の夢を叶える手助けになってしまいます。対話に参加される方には、ぜひ「日本と滋賀の現実」を踏まえたご意見を届けていただきたいのです。
滋賀県減税会、そして交通税の凍結を求める連合会は、拙速な新税の導入に反対し、交通税の凍結を求めます。 「一度立ち止まって、県民全体で本当に必要か確かめるべきだ」と感じた方は、どうか声を上げてください。
減税TVというYouTubeチャンネルで、今回の滋賀県知事選について渡瀬裕哉氏が言及されています。
知事は「丁寧に議論を積み重ねる」と言います。しかしその言葉は、「丁寧に、慎重に、増税を決めてやる」という意味にしか聞こえないのです。
滋賀県減税会は、拙速な新税の導入に反対し、交通税の凍結を求めます。この記事を読んで「一度立ち止まって考えるべきだ」と感じた方は、ぜひ声を上げてください。
署名は下にリンクがありますのでよろしくお願いします。
誰かがするのでは、いつかしよう・・・という方も、是非今すぐお願いできれば嬉しいです!







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