【交通税と県議会の攻防・第38回】数字の矛盾と「バス支援計画」の正体
- 喜多G13

- 5 時間前
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今回のポイント
前回中断された特別委員会が12月25日に再開され、素案の審議が行われました。しかし、議論を通じて明らかになったのは、計画の根幹にある数字の混乱と、当初描かれていた「地域交通全体の充実」が実質的に「バス運賃支援計画」に縮小されている現実でした。
148.5億円→112.8億円→53億円と回を追うごとに変わる数字、以前はJR琵琶湖線・湖西線を含むと答弁していた「鉄道」が今回は近江鉄道・信楽高原鐵道だけだと説明が変わった矛盾、そして事業費の多くがバス・デマンド交通に充てられ「地域交通計画がバスの支援計画であるなら、計画自体が必要なのか」と問われる事態に至りました。
最終的に委員長が3つの条件を付してパブコメへの移行を認めましたが、その条件の一つが「議会が承認した素案では決してないと書き添えること」という異例の付記要請でした。
交通税関連質疑のまとめ
地方創生・公共交通対策特別委員会(12月25日)
森重重則委員は、概算費用の数字が会議ごとに変わっていることを追及。概要版18ページの112.8億円、20ページの維持59.8億円と充実53.0億円、さらに以前の148.5億円との関係を質しました。特に「新たな税の使途として想定しない表aと、検討する表bを合算して112.8億円と記載すると、全体が新たな税の対象であるかのように見える」と指摘。
さらに、以前の委員会でJR琵琶湖線・湖西線を含むとコンセンサスを取っていた「鉄道」が、今回は近江鉄道と信楽高原鐵道だけだと説明が変わったことについて「答弁が矛盾している。書いている者自身が混乱している可能性がある。間違ったまま計画を進めることに危険性を感じる」と厳しく批判しました。
川島隆二議員(自民党)は、計画の中身がバス支援に偏っていることを問題視。「最初は鉄道も含めて公共交通だと言っていたのに、メインがバスの運賃支援16.3億円になっている。スケールが小さいが、これが地域交通計画なのか」と追及しました。「バス運賃を一律にしたら乗るかといえば、乗らない。家から徒歩20分で駅に行けるのにバスだと遠回りで1時間かかるなら乗らない」と現実を突きつけ、「バス路線を充実させて駅に向かう人が増えて鉄道の利用者が増えるということはない。それを間違えると無駄に県民から税金を取ることになる」と警告しました。さらに「ほかの計画は財源の範囲内でつくっている。この計画だけ新たな税を含めてつくるのは、交通税を取ろうとする意図があるから。そもそもの出発点がおかしい」と断じました。
河村浩史委員(滋賀維新の会)は「計画の目的は住民が安心して暮らせる環境を整えること。交通事業者を守ることでも財源を確保することでもない。その最大の目的をこの計画から感じ取れない」と述べ、第7章(財源・新たな税)を計画から切り離すべきだと主張。「税の導入の是非を決定するものではないと書きながら、その直後に税の見直しについて検討すると書くのは、導入前提の書き方。導入できなかった場合の代替案も考えるべき」と指摘しました。
税政課長は「財源確保のための計画ではない」としつつ「このタイミングで財源の話を計画から抜くことは県民に対して無責任」と第7章維持の姿勢を示しました。川島議員は「その考え方がおかしい。税金の話ばかり先行して計画の話をしていないからそうなる」と退けました。
谷成隆委員(自民党)は、市町分担額について「全市町が賛成しているわけではない」と指摘。県側は「維持部分の負担が増えると全て市町の負担になるのではないかという不安の声がある」と認めました。
駒井千代委員は、KPIの指標が弱いことを指摘し「5年の最終年で自動運転をこのエリアに導入するなど、終着点をきちんと示すべき。何となくで流れていくから理解が得られない」と述べました。
清水ひとみ副委員長(公明党)は「誰もが行きたいときに行きたいところに行けるというのは夢が広がり過ぎている。県民の生活を支える安心な暮らしのために、福祉や教育の側面がもっと計画に反映されるべき」と述べました。
白井幸則委員長(自民党)は、計画に記載された自家用車維持費(滋賀県73万円)と富山県の資料(約40万円)の差を質し、算出根拠の提出を求めました。また、KPIに基準地価の上昇を置くことについて「地価は様々な要因で勝手に上がる。判断を誤る」と指摘しました。
最後に委員長は3点を整理して素案のパブコメ移行を認めました。第一に、全市町の計画が既にあるので県計画の策定が急がれること。第二に、交通税については計画策定で導入を決定するものではなく、新たな財源による事業は令和10年度以降なので別途議論の時間があること。第三に、委員からの意見は原案に反映可能であること。ただし「議会が承認した素案では決してない」と書き添えることを条件としました。
感想
148.5億円が53億円になり、JR増便が消え、残ったのはバス運賃支援がメインの計画。川島議員の「これが地域交通計画なのか」という問いが全てを物語っています。委員長が「議会が承認した素案ではない」と書き添えることを条件にした事実は、議会がこの計画を認めていないことの明確な意思表示です。
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