【交通税と県議会の攻防・第14回】信楽高原鐵道社長参考人招致と20年の「まずは」
- 喜多G13

- 4 日前
- 読了時間: 5分
今回のポイント

令和5年1月、公共交通・国スポ・障スポ大会対策特別委員会に、信楽高原鐵道の正木仙治郎社長が参考人として出席しました。
正木社長は元県職員で部長経験者、かつ甲賀市副市長も兼任する人物です。
注目すべきは、九里学委員(チームしが)が交通税についての見解を直接尋ねた場面です。正木社長は「県のほうから交通税のような御提案をされ、検討の舞台に上げられたというのはすばらしいこと」と明確に賛意を示しました。元県幹部であり、新税の担当経験もある参考人の「お墨付き」を委員会の場で引き出した形です。
一方、目片信悟委員(自民党)は、びわこ京阪奈線建設構想が平成16年から20年近く「まずは」という段階のまま止まっていることを指摘し、「これから何十年『まずは』と言い続けるのか」と行政の計画推進力そのものに疑問を投げかけました。
信楽高原鐵道の地道な経営努力と、具体化しないまま20年を経た構想路線。この対比が、交通政策における「民間の力」と「行政の限界」を浮き彫りにした回です。
交通税議論のまとめ
公共交通・国スポ・障スポ大会対策特別委員会(1月24日)
前半は信楽高原鐵道の正木社長による参考人意見陳述と質疑、後半はびわこ京阪奈線構想と信楽高原鐵道への県の支援状況についての質疑が行われました。
正木社長は、信楽高原鐵道が平成25年の上下分離以降、コロナ禍を除いて黒字経営を維持してきた経緯を説明しました。高校生の減少による定期収入の落ち込みを、観光旅客の誘致で補う戦略をとり、旅行会社への営業活動、リサ・ラーソン展との連携、鉄印帳の販売、沿線景観づくりなど、限られた人員と予算の中で地道な増収努力を重ねてきたことを紹介しました。「例え僅かであっても黒字経営を死守できるように」という姿勢が印象的でした。
九里学委員(チームしが)は、交通税の在り方について正木社長に見解を求めました。社長は「検討の舞台に上げられたのはすばらしい」と答え、観光よりも「年配の方や障害のある方の利便性向上」に着目したほうが県民理解を得やすいと助言しました。さらに九里委員が「税金については前向きに検討したほうがいいとの理解でよいか」と重ねて確認すると、「負担額にもよるが理解が得やすいのではないか」「検討の舞台に上げていただいたのはありがたい」と答えました。
目片信悟委員(自民党)は、信楽高原鐵道に関しては観光連携による乗降客増加策を提案しつつ、後半のびわこ京阪奈線構想の議論で鋭く切り込みました。平成16年に「まずは地域と事業者が既存鉄道の利用促進に取り組む」とされてから約20年が経過しているにもかかわらず、依然として「まずは」の段階であることを問い、「もう20年たったのなら、ある一定のところで先の見通しも含めて答えを出すことも必要」と指摘しました。
白井幸則委員(自民党)は、上下分離で財政に最も効果が出た要因を質問。木沢成人副委員長は、通学定期の公的支援による利用回復の可能性や、シニア向け新型定期券の企画など、具体的な提案を行いました。
答弁のまとめ
参考人(正木社長)の答弁
正木社長は、上下分離による黒字化について「設備に関する部門が非常に大きな負担であったことから、ある意味当然」と述べ、「分離をすれば、よほど乗客が少なくなければ、そこそこの経営状況のところまでいく」と説明しました。また、黒字化により「社員も前向きに考えてくれる」という心理的効果も大きいと語りました。
交通税については、自身が県職員時代に新税を担当していた経験を踏まえ、賛成の立場を明示。ただし、観光振興よりも高齢者や障害者の移動手段確保という観点から訴えたほうが県民理解を得やすいとの見方を示しました。
県側(渡辺管理監)の答弁
びわこ京阪奈線について、「京田辺までつなぐことの実現については相当厳しい」と認めつつ、「実現を諦めるのではなく、まずは近江鉄道や信楽高原鐵道をしっかり運行・維持することで、将来的にまた考えていく段階」と答弁しました。目片委員の「何十年『まずは』と言い続けるのか」という追及に対しては、「平成16年から『まずは』という状況で、信楽以南は具体化していない」と認めるにとどまりました。
信楽高原鐵道への継続支援については「支援を継続していくべき」としながら、「仕組み、期間、方法等は県議会と丁寧に議論を重ねながら決定する」と述べました。
感想
信楽高原鐵道の正木社長の報告は、地方鉄道の厳しい現実と、それに立ち向かう民間の知恵と努力を示すものでした。僅かな黒字を死守するために観光誘客や沿線景観づくりに社員総出で取り組む姿は、経営の本来あるべき形です。
しかし、九里委員が交通税への賛否を参考人に問い、元県幹部である社長から「すばらしい」という言葉を引き出したことには違和感があります。行政側の人間が行政の提案を称賛するのは当然であり、これを「現場の声」として扱うのは適切ではありません。
そして、びわこ京阪奈線構想の20年にわたる停滞は、行政主導の交通計画がいかに硬直的かを象徴しています。具体化の見通しすら立たない構想を抱えたまま、「交通税で新たな投資を」と言われても、県民が納得できるでしょうか。信楽高原鐵道が民間の努力で黒字を維持している一方で、行政は20年間「まずは」と言い続けている。この対比こそが、交通税の前に問われるべき本質だと考えます。
署名にご協力ください
交通税の導入に反対する署名活動を行っています。県民の声を届けるため、ぜひご協力をお願いいたします。

コメント