【交通税と県議会の攻防・第13回】上下分離で問われた経営の覚悟
- 喜多G13

- 4 日前
- 読了時間: 4分

今回のポイント
令和4年12月、県議会の常任委員会と特別委員会で、近江鉄道の上下分離に向けた「一般社団法人近江鉄道線管理機構」の設立が議題となりました。ここで複数の委員から、交通税の議論と絡めた鋭い指摘が飛び出します。
白井幸則委員(自民党)は「福祉など本当に大切なところのお金が削られてこっちに流れてしまうようなことがあってはいけない」と、経営感覚の欠如を厳しく指摘。目片信悟委員(自民党)は「交通税の議論も踏まえて、第2種鉄道事業者の経営がきちんとできているのかが問われる」「第3種鉄道事業者がどんどん手を伸ばさないといけないようになれば意味がない」と、上下分離が県民負担の青天井化につながるリスクを突きました。
交通税という新たな負担を県民に求める前に、近江鉄道の経営実態と上下分離の採算性を厳密に示すべきだという、現場の委員会ならではの具体的な議論が展開された回です。
交通税議論のまとめ
土木交通・警察・企業常任委員会(12月15日)
近江鉄道線管理機構(第3種鉄道事業者)の設立について質疑が行われました。
富田博明委員(自民党)は、役員に鉄道事業者が入っていないにもかかわらず事務所を近江鉄道株式会社内に置くことについて「別の団体として設立するのに、普通に考えたらおかしい」と疑問を呈しました。
白井幸則委員(自民党)は、事務局の運営費が市町と県の負担金で賄われることを確認した上で、「経営という言葉を使ったのであれば、経営者的な感覚を持っていただく必要がある」と釘を刺しました。さらに「国の補助金とか市町の負担金が出てくるからといって、のんびりとやっていてはだめ」「福祉など本当に大切なところのお金が削られてこっちに流れてしまうようなことがあってはいけない」と、公金依存体質への強い警戒感を示しました。
目片信悟委員(自民党)は、上下分離後に第2種鉄道事業者が本当に黒字化できるのか質問。県側が「どこまでを下が持つかによって黒字にも赤字にもなる」と答えたことに対し、「交通税の議論も踏まえて、県民に負担を求める際には第2種鉄道事業者の経営がきちんとできているかが問われる」「第3種鉄道事業者側が手を伸ばしてやっと黒字になりましたでは理解は得にくい」と指摘。県民負担にならない形での黒字確保を求めました。
公共交通・国スポ・障スポ大会対策特別委員会(12月16日)
目片信悟委員(自民党)は、近江鉄道の全線無料イベント後の利用者動向分析が遅いことを指摘し、「交通税も含めた形で公がやっていこうとするならば、結果につながっていくようにもっていく必要がある」「リアルタイムに分析していく必要がある」と求めました。イベント当日だけ賑わって翌日から元通りでは意味がないという、本質的な問題提起です。
知事や県側の答弁のまとめ
土木交通・警察・企業常任委員会(12月15日)
渡辺土木交通部管理監の答弁を整理します。
管理機構の役員構成については、第3種鉄道事業者はあくまで沿線の地方自治体(市町と県)で構成し、事務局に鉄道事業経験者を入れて安全な運行管理に努めるとしました。事務所を近江鉄道社内に置く理由については、市役所庁舎なども検討したがスペースの問題や近江鉄道とのやり取りの利便性を総合的に勘案した結果と説明しました。
上下分離後の採算性については、「線路だけを持ってもまだ黒字にはならない」「持つ施設・設備の範囲によって第2種事業者の黒字や第3種事業者の負担額が変わる」と認め、最終的な詰めの段階であると答弁。支出については「これからは多くを税金で対応することになる」と率直に述べつつ、「青天井にならないか各自治体も心配している」「使い過ぎにならないようにしっかり考える」としました。
公共交通・国スポ・障スポ大会対策特別委員会(12月16日)
渡辺管理監は、近江鉄道のイベントについて「我々もしっかりと主体性を持って分析等も進めながら議論してまいりたい」と応じ、「何としても持続可能な運行ができるように」取り組むと述べました。
感想
この委員会の議論で浮かび上がったのは、近江鉄道の上下分離が「第2、第3の近江鉄道」を生むリスクそのものです。県側は「多くを税金で対応することになる」と自ら認めています。にもかかわらず、黒字化のシミュレーションすら「最終の詰め」の段階で、どこまで下が持てば黒字になるのかも確定していない。この状態で「交通税で支えましょう」という話が進むことに、強い違和感を覚えます。
白井委員が「福祉のお金が削られてこっちに流れてはいけない」と述べたのは、まさに核心です。交通税が導入されれば、その使途は際限なく広がる可能性があります。目片委員の「県民負担にならない形で黒字確保を説明すべき」という要求も、現時点で県が応えられていません。経営の実態を明らかにしないまま、新たな税で穴埋めする構図を、私たちは認めるわけにはいきません。
署名にご協力ください
交通税の導入に反対する署名活動を行っています。県民の声を届けるため、ぜひご協力をお願いいたします。

コメント