【交通税と県議会の攻防・第10回】「税収規模も使途も未定」のまま走る議論 令和4年7月②
- 喜多G13

- 4月20日
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シリーズ:交通税と県議会の攻防 滋賀県減税会

今回のポイント
今回は、令和4年7月定例会議のチームしが県議団の代表質問(今江政彦議員)および一般質問(河井昭成議員)を取り上げます。前回(第9回)の所信表明を受けた、議員からの本格的な質疑です。
注目すべきポイントは以下の通りです。
知事が「県民が等しく少しずつ負担し合う、例えば交通税という形でつくることができないか」と、負担の形を具体的に語り始めたこと。
河井議員が「税収規模はどのくらいか」と問うたのに対し、知事が「現時点で具体的な税収規模は持ち合わせておりません」と回答したこと。
河井議員が「新たな財源は新たな事業に充てるべきで、既存予算の置き換えにならないか」と鋭く問い、知事が明確に答えなかったこと。
今江議員が「使途や権限、具体的な経費、負担割合や税収規模が未確定なままでは県民理解は不透明」と指摘したこと
※河井議員は令和8年2月の衆院選前に県議の職を辞され、衆議院議員です
知事の答弁のまとめ
今江議員への答弁──「新たな自治の追求」
今江議員の代表質問に対し、知事はこう答弁しました。
「地域公共交通を国や事業者だけに頼らず、税という形でみんなで負担、分担し合い、維持していこうとすることは、新たな自治を追求するためにも大変重要なことであると認識しております」
「私たち県民が等しく少しずつ負担し合う、例えば交通税という形でつくることができないか、県議会、県民の皆様と丁寧に議論を積み重ねてまいりたい」
交通税を「自治の追求」として位置づける知事の姿勢が鮮明になりました。
河井議員への答弁──交通税具体論の不在
河井議員は交通税について7問にわたる詳細な質疑を行いました。知事の答弁から浮かび上がったのは、具体論の不在です。
スケジュール: 「この任期中に方向性を示したい」──具体的な時期は示されませんでした。
税収規模: 「現時点で具体的な税収規模は持ち合わせておりません」──河井議員が「県民1人当たり1,000円なら14億円。この近辺の金額なら今の予算の中でも対応できるのではないか」と問うても、知事は正面から答えませんでした。
課税方式: 「既存税目に対する超過課税方式から検討する」──税制審議会の答申に沿った回答で、具体的な税目には踏み込みませんでした。
使途: 「ビジョンの策定と並行して検討する」──何に使うかも未定のまま、税の議論だけが先行しています。
既存予算との関係: 河井議員が「新たな財源は新たな事業に充てるべきで、既存の予算が置き換わることはないか」と問うたのに対し、知事は「ビジョンの策定と並行して検討する」と繰り返すにとどまりました。
議論の概要
今江議員の指摘──県民理解の壁
今江議員は交通税に「一定理解する」としつつも、「使途や権限、具体的な経費や管理方法、負担割合や税収規模が未確定なままでは県民理解をどれだけ得られるか不透明」と率直に指摘しました。さらに「事業者自身のモラルハザードを招かせず、経営努力を促す仕組みづくりも不可欠」とも述べ、公的資金投入が事業者の経営努力を弱めるリスクにも言及しています。
河井議員の問いかけ──「地域公共交通とは何か」
河井議員が最も力を入れたのは「滋賀県民にとって地域公共交通とは何か」という根本的な問いでした。「何を今さらとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないが、ここが一番大事」と強調し、交通税の議論の前に、地域公共交通の位置づけについて県民の合意形成が必要だと主張しました。
また「新たな負担を求める前にまだできることがあるのではないか」という問いも重要です。湖岸緑地の駐車場有料化など、既存事業の受益者負担の見直しを例に挙げ、歳入歳出両面の見直しが先決ではないかと問いかけました。
知事は「不断に、かつ継続的に実施していくことが必要」と認めつつも、具体的な見直し内容には踏み込みませんでした。
感想
この定例会議での質疑から明らかになったのは、交通税が「税収規模も使途も課税方式も未定」のまま走り続けているという事実です。
知事は「ビジョンと並行して検討する」「県民と丁寧に議論する」と繰り返しますが、議員から「いくらぐらい集めるのか」と聞かれても答えられない段階で、何を根拠に県民と議論するのでしょうか。今江議員が指摘した通り、「使途や負担割合が未確定なままでは県民理解は不透明」です。
河井議員が「県民1人当たり1,000円なら14億円。この程度なら既存予算でも対応できるのでは」と試算を示したのは、この議論に欠けている数字の感覚を持ち込む重要な問いかけでした。現在の地域公共交通関連予算は年間約8億円。仮に交通税で同規模の財源を確保するとしても、それは県の一般会計予算(約6,000億円)の0.1%程度です。歳出の見直しで捻出できない金額ではありません。
河井議員の「新たな財源は新たな事業に使うべきで、既存予算の置き換えにならないか」という問いに知事が明確に答えなかったことも気になります。もし交通税収が既存事業の予算に置き換わるだけなら、県民にとっては「増税しても何も変わらない」ことになりかねません。
知事が交通税を「新たな自治の追求」と位置づけていることには、根本的な疑問を呈さざるを得ません。自治とは、住民が自らの負担で自らのサービスを選択することです。しかし、負担の規模も使途も未定のまま「自治だ」と言われても、住民には選択のしようがありません。必要なのは抽象的な理念ではなく、具体的な数字と選択肢です。


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