【交通税と県議会の攻防・第7回】 「法定外税か超過課税か」知事が初めて具体的手法に言及 令和3年12月-2月
- 喜多G13

- 22 時間前
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シリーズ:交通税と県議会の攻防 滋賀県減税会

今回のポイント
今回は、令和3年11月定例会議(12月2日)の大橋通伸議員の質問と、令和4年2月定例会議(2月22日)の大野和三郎・元議員の質問を取り上げます。
注目すべきポイントは以下の通りです。
大野議員が「県の課税自主権はどうあるべきか」「交通税の手法は税率操作か法定外税か」と、課税の具体的手法について初めて県議会で正面から問うたこと。
知事が「法定外税の創設または既存税目に対する超過課税のいずれの可能性も排除しているわけではありません」と、具体的手法に初めて言及したこと。
大野議員が「県の役割と責務、施策の方向性を示した上で、財源をどこに求めるのか──国なのか、県民なのか」という根本的な順序論を提起したこと。
JR西日本の減便が現実化し、公共交通の危機が「交通税の必要性」を裏づける材料として使われ始めたこと。
知事の答弁のまとめ
11月定例会議(大橋議員への答弁)
大橋議員は、第7回から第12回までの税制審議会の流れを丁寧に整理した上で、CO2ネットゼロ税制と交通税それぞれについて知事に質問しました。
知事は交通税について、第12回審議会での委員の意見として、将来の交通需要予測を考慮すべきこと、県が広域的にリーダーシップをとるべきこと、負担増だけでなく便益や負担減も示すべきことを紹介しました。
その上で「利用者のみならず、地域のみんなで支えていくための仕組みづくりができないか、引き続き丁寧に議論を重ねてまいりたい」と答弁しています。
2月定例会議(大野元議員への答弁)
大野元議員は、より踏み込んだ質問を展開しました。公共交通の厳しい現状(バス21.3%減、タクシー38.6%減)を確認した上で、交通税の根本に切り込みました。
「そもそも地域公共交通を支える上で県が果たすべき役割とは何か」──この問いに対し、知事は地域公共交通活性化再生法の規定を引用し、「広域的な見地から市町と連携して取り組む」という法的位置づけを示しました。
そして核心の質問、「課税自主権はどうあるべきか」「交通税の手法は税率操作か法定外税か」に対し、知事はこう答弁しました。
「課税自主権は地方自治に不可欠な要素として憲法により付与されているものと解されますが、当然ながら、住民の理解の上に行使されるべきもの」
「具体的な手法については、法定外税の創設または既存税目に対する超過課税のいずれの可能性も排除しているわけではありません」
交通税の課税手法について、知事が県議会で具体的に言及したのはこれが初めてです。
今回の交通税議論の概要
JR減便
大野元議員の質問の背景には、JR西日本による減便の現実化があります。北陸線の長浜─米原間で昼間1時間2本が1本に。県民生活への影響が顕在化し、「公共交通の危機」が共有されました。
知事はJR西日本との利用促進プロジェクトチーム(庁内19所属とJR西日本で構成)の設置を報告し、駅と工業団地を結ぶシャトルバスの運行など具体策も示しました。
しかし、ここに構造的な問題があります。JRが減便し、県民が不便を感じ、「公共交通を守らなければ」という危機感が高まるほど、交通税の必要性が説得力を持つようになるのです。JR減便への対策と交通税の議論が、結果として相互に補強し合う関係になっています。
大野元議員の「順序論」
大野元議員が提起した論点は明快です。「県の役割と責務、施策の方向性を示した上で、その財源をどこに求めるのか──国なのか、県民に求めるのか」。これは、第3回以来繰り返し指摘してきた「順序の逆転」問題を、最も的確に言い表した問いかけです。
滋賀県減税会のコメント
大野元議員が提起した「順序論」は、交通税問題の核心を突いています。
県が果たすべき役割を明確にし、施策の方向性を示し、その上で財源を国に求めるのか県民に求めるのか、そしてそれを新しい税として求めるのかを判断する──これが本来の順序です。しかし現実には、役割も施策も曖昧なまま、税制審議会での「交通税導入可能性の検討」だけが先行してきました。
知事が「法定外税か超過課税か、いずれも排除しない」と答弁したことで、交通税はいよいよ具体的な制度設計の段階に入りつつあります。しかし、特別編で検証した第12回税制審議会の議事概要を見る限り、審議会は「どう導入するか」の技術論に終始し、「導入しない」という選択肢は事実上消えています。
JR減便の問題は深刻ですが、だからこそ冷静な議論が必要です。JRが減便するのは採算が取れないからです。採算が取れない路線を税金で維持し続けることが、県民全体の利益になるのか。それとも、需要に合わせた交通体系の再編と、規制緩和による民間参入の促進のほうが、持続可能な解決策ではないのか。
知事は「課税自主権は住民の理解の上に行使されるべき」と述べました。ならば、住民に対して、既存事業の事務事業評価を全面公開し、歳出構造の無駄を示した上で、「それでもなお新たな税が必要だ」という説明ができるのかが問われます。歳出の見直しなき増税は、住民の理解を得られるものではありません。
次回への展望・注目点
知事が「法定外税か超過課税か」に言及したことで、交通税は抽象的な議論の段階を超え、具体的な制度選択の段階に入りました。次回以降、以下に注目します。
第13回・第14回税制審議会:年度末に答申案が示される予定。課税方式や税率の具体論がどこまで踏み込まれたのか。
交通ビジョンの改定作業:令和4年度から本格化する見直し作業の中で、交通税がどう位置づけられるのか。
県民への説明:知事が繰り返す「丁寧かつ謙虚に」は、具体的にどのような形で県民に届けられるのか。
一次資料に基づいて、引き続き検証してまいります。
滋賀県減税会は、県民の立場から、数値と事実に基づいた政策検証を続けてまいります。



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