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【交通税と県議会の攻防・第19回】「公共交通は使わないが必要」は当たり前。県民トークの落とし穴 | 令和5年9月

【交通税と県議会の攻防・第19回】「公共交通は使わないが必要」は当たり前。県民トークの落とし穴

 

今回のポイント


令和5年9月定例会議で、清水ひとみ議員(公明党)が地域公共交通の再構築について一問一答形式で質問を行いました。


清水議員は、県民から寄せられる「交通税という言葉と負担感が先に立ち、心配と不安の声が多い」「まだまだ理解を得られているとは言えない」という実態を率直に伝えました。質問の最後でも「税ありき、負担先行ありきだとの県民の不安の声を受け止め、理解と納得感を得るための取組をさらに進めるべき」と要望しています。

 

注目すべきは、県民トークの結果として示された数字です。80%の人が公共交通の利用頻度は月に数日以下である一方、95%が公共交通は必要と回答。この結果は「オプションバリュー(今は使わないが将来のために残しておきたいという利用価値)」として紹介されました。一見すると公共交通への支持を示す数字ですが、裏を返せば、日常的に利用しない人々にも負担を求める論拠として使われかねない数字でもあります。

 

また、総務部長は税制審議会の議論について「まずは目指す地域交通の姿や必要な施策の議論があった上で、財源や負担の議論につなげていくことが適当」との意見があったと紹介し、ビジョン策定後に税の議論を進めるという順序を示しました。



交通税議論のまとめ


9月定例会議・本会議(9月28日)

清水ひとみ議員(公明党)は、県政世論調査で公共交通への不満度が13年連続1位であることに触れ、通院のバスが廃止された高齢者やバス停まで歩くのがつらい方など、具体的な県民の声を紹介しました。

 

その上で、交通税について「どんな交通サービスになるかも分からない段階で負担という話が出た」「交通税という言葉と負担感が先に立ち、多くの県民から心配と不安の声を聞いている」と述べ、税制審議会の今後の議論の方向性とスケジュールを質しました。

 

県民トークの結果については、80%が月に数日以下の利用頻度、95%が公共交通は必要と回答したことを確認。清水議員は京都産業大学の塩津ゆりか先生が提唱する「オプションバリュー」の概念を紹介し、今は利用していなくても将来のために残しておきたいという価値があることを指摘しました。

 

10月28日にイオンシネマ草津で開催予定の県民フォーラムについても、対面300名とオンライン配信という規模で行われることを確認し、周知広報の充実と庁内横断的な取組を求めました。

 

最後に「県民と一体となって地域公共交通の再構築をするため、議論の見える化がさらに必要」と述べ、知事に今後の議論の高まりをどう描くのかを問いました。



知事や県側その他の答弁のまとめ


9月定例会議(9月28日)


東総務部長は、税制審議会の今後について「ビジョンの策定を踏まえ、費用の負担の在り方や具体的な仕組みについてさらに審議をお願いしたい」と述べました。議論の順序については「まずは目指す地域交通の姿や必要な施策の議論があった上で、財源や負担の議論につなげていくことが適当」との審議会での意見を紹介しました。

 

三和土木交通部長は、県民トークをこれまで12の役所と病院、3つの商業施設等で実施し、対面773人、ウェブ84人の計857人から意見を聞いたと報告。結果として80%が月に数日以下の利用頻度でありながら95%が公共交通は必要と回答し、「新たな負担を許容する」との回答もあったと述べました。

 

知事は、県民との対話について「点ではなく線、面で考える」「供給サイドだけでなく需要サイドから考える」「乗る人だけでなく広くオプションバリュー的な価値も見出す」という方向性を示しました。県内主要駅に意見箱を設置する予定であることも明らかにし、来年度以降も「交通税というものがあればどういうことになるのかも含めて」丁寧に対話を積み重ねるとしました。



感想

今回の質疑で示された「80%が日常的に使わないが、95%が必要と答えた」という数字は、当たり前すぎます。「必要」と「自分が負担してでも維持したい」は全く別の話です。「あったほうがいい」と「税金を払ってでも残すべき」の間には大きな距離があります。

私もこの県民トークには参加しましたが、設問がおかしいことは指摘しました。


オプションバリューという概念は学術的には興味深いですが、これを交通税の根拠にするのは危険です。「将来使うかもしれないから今のうちに税金を払ってください」という論法は、あらゆる公共サービスに適用できてしまいます。図書館も体育館もプールも、使わない人にとってはオプションバリューです。この論理で増税を正当化すれば、際限がありません。

 

総務部長が「ビジョン策定後に財源の議論」という順序を示しましたが、交通ビジョンが「外堀埋め」にならないか心配です。知事は同じ場で「交通税があればどうなるかも含めて対話を積み重ねる」と述べており、結局ビジョンと税の議論は並行して進む構図に変わりはありません。清水議員が伝えた「税ありき、負担先行への不安」という県民の声に、県は正面から応えられていないのが実情ではないでしょうか。




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滋賀県減税会

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