南 祐輔・近江八幡市議の議会質問2025/06/18
- 喜多G13
- 6月27日
- 読了時間: 7分
交通税のところだけ抜き出して文字起こししました。少し単語が実際の発言とは異なるところはあるかもしれません。
南議員は先日の滋賀県減税会のイベントにも参加してくださり、そこでお話しした内容を参考に議会質問をしてくださいました。本当に感謝です!
南議員の質問
【交通税について】
現在、滋賀県では「交通税」の議論が進んでいます。もっとも、直接「交通税」の是非そのものを話し合っているわけではありません。
まず「滋賀の公共交通未来アイデア会議」などを通じて議論が行われ、その結果を反映した「滋賀地域交通ビジョン(素案)」が2023年12月に作成されました。ここでは、
「誰もが行きたいときに行きたいところへ移動できる地域交通の実現」
が目指されています。
その理想を達成するためには、年間最大127億円の費用が必要だと試算されています。その後さらに検討が進み、2024年3月には素案が正式に「滋賀地域交通ビジョン」として策定されました。
このビジョンでは、交通の目指す姿をA・B・Cの3段階に分けており、最も理想的なC案では年間127億円という高額な費用が必要とされています。
まとめとしては、
「地域交通は重要だが、現在の民間経営だけでは維持は困難。将来的には国・県・市町・企業・県民がそれぞれ負担や役割を果たす必要がある。」
という立場が示されています。その方法の一つとして「交通税」という、県民全体に広く薄く負担を求める選択肢も挙げられています。
なお、この過程で行われた「未来アイデア会議」などでは、アンケートやワークショップ、県民フォーラムも実施されましたが、
誘導的な質問があったのでは?
賛成派のパネリストばかりでは?
といった意見も一部で聞かれています。
そもそも滋賀県の年間予算は約6,500億円。127億円というのはその約2%に過ぎないのですから、県民への新たな負担を求める前に、無駄遣いの見直しや予算の組み替えで対応できないのかという疑問も持っています。
【質問1】
この滋賀地域交通ビジョンの策定にあたって、市町村の行政の意見はきちんと聞かれているのでしょうか?
【質問2】
ビジョンの中では、滋賀県をライフスタイル別に4つの地域に分類しています。私たちの市は、
人口密度が高く
鉄道の利便性も高い一方
自動車の利用率も高い
という特徴があり、「車から公共交通への転換を促すべき地域」とされています。
しかし、各市町村はそれぞれ独自に交通や都市計画のマスタープランを立ててきました。そこに県が新たに上から大きな方針を出してくることで、これまで積み重ねてきた市町村のまちづくりや交通政策との間に矛盾や不整合が生まれないかを危惧しています。
ビジョンで示された地域分類やライフスタイルの想定は、本市のこれまでの計画と整合性が取れているのでしょうか?
また、「市町村と議論を重ねる」とありますが、現時点でそのような意見を述べる場はあるのか、今後設けられる予定があるのかもお聞きします。
【質問3】
調べたところ、地方自治体は条例によって独自の税(法定外目的税)を課すことが可能だとされています。
滋賀県の交通ビジョンの中では、県民への具体的な負担額はまだ決まっていませんが、もし将来的に「交通税」という新税が導入されるとすれば、
それは県議会の賛成だけで導入できるのか?
あるいは既存の県民税への上乗せという形になるのか?
その場合の法的な手続きや流れについても、分かる範囲でご説明いただきたいと思います。
【当局の回答】
市長の答弁
滋賀地域交通ビジョンについては、令和4年度から5年度にかけて2年をかけて策定され、令和6年3月に完成しました。
策定にあたっては、議員ご指摘のとおり「公共交通未来アイデア会議」などを開催し、
県民からのアンケート
ワークショップ
対面での意見交換
を通じて、市町村の行政の意見も丁寧に聞き取っています。
現在はこのビジョンを具体化するための「滋賀地域交通計画」の策定作業が進められており、そこでは各市町村が独自に作っている「地域公共交通計画」をベースに議論が進められています。
本市が令和5年3月に策定した「大市地域公共交通計画」とも整合性を持たせる方針です。
また、「交通活性化協議会」が立ち上がっており、今後も県民や関係機関との幅広い意見交換の場が設けられる予定です。
なお、過去の市長会議の中でも県からの説明はありましたが、村長や市長から積極的に賛同する声はあまり聞かれていない状況です。
ビジョンでは「車から公共交通への転換を」とされていますが、具体的にどのような形になるのかは、まだ難しいところもあるというのが正直なところです。
財政部長の答弁
もし「交通税」が導入される場合、これは自治立法である「県条例」によって定められます。
つまり、法令の範囲内で「滋賀県議会の議決」によって決定されます。
現行の「びわ湖森林づくり県民税」と同様に、
県民税への上乗せ(超過課税)という形になる可能性が高い
県が条例案を作成し、県議会で審議・可決
成立すれば、県民税と合わせて徴収される
という流れになります。
【南議員のまとめと意見】
そもそも公共交通の在り方や、それにどれだけ予算を割くかというのは、各市町村が自分たちの地域の特性や財政状況を踏まえて決めるべきことです。
県が一律に上から方針を出す形では、予算規模が必要以上に大きくなり、住民負担が増えてしまうのではないかと強い懸念を抱いています。
特に今回のビジョンで掲げられている「誰もが行きたい時に行きたいところへ」という理想は、現実的に考えても過剰ではないでしょうか。
私としては、まずは国の補助金や企業の協力、あるいは既存予算のやりくりでまかなうべきで、県民への新たな負担は最後の選択肢にするべきだと考えています。
さらに、今本市で行われているように、コミュニティ交通の中でボランティアによる運転が実施されている現状もあります。
規制緩和が進めば、1回1,000円や2,000円程度の有償運送ができるようになり、もっと多くの人が参加できる可能性もあります。
ライドシェアの導入など、新しい形の交通のあり方も含め、低コストで柔軟な地域交通を模索するべきです。
最後に申し上げますが、県から補助金が出るから良いという発想ではなく、
本市にとって本当に必要な交通なのか
市民や県民の負担が過剰にならないか
この視点を忘れずに、今後の議論の行方をしっかり見ていっていただきたいと思います。
以上で本日の質問を終わります。ありがとうございました。
南議員の議会質問と近江八幡市からのご返答について、私の意見を率直にお伝えしますね。
① 市長さんのご意見について
市長さんは、県の姿勢に対してヒアリングはされていた、市の計画とも整合性があるという一定の理解を示しつつも、実際の計画は「近江八幡市民に車を手放させて公共交通への転換を促す地域」として指定されていることなどについては、懸念を示されています。
ということは、ヒアリングされているにもかかわらず、滋賀県のビジョンは上からの押し付け型であることがここからも分かりますね。市町村ごとに交通事情や住民ニーズは大きく異なるので、一律の方針で県が勝手に「ぼくのかんがえたさいきょうのしがけんのこーつー」としてまとめ押し付けるのは極めてヨロシクありません。地域の公共交通の設計は市町村が主体で行うべきです。
「車から公共交通へ」という発想は、非常に中央集権的です。実際に都市部と農村部でライフスタイルはまったく違いますし、過度に公共交通へ誘導する政策は、むしろ地域経済や自由な移動の妨げになります。地域の自主性を尊重せず、県が一方的に方針を決めてしまうと、市町村の都市計画との不整合は必ず生じます。
そして「滋賀の首長の多くが良い反応を示していない」という話も出てきました。
なんかもう「大丈夫なの滋賀県!?そんな運営でいいの?」という感想しか出てきません。
②法定外目的税としての交通税について
法的には県条例で導入可能ですが、「びわ湖森林づくり県民税」と同様、住民税への上乗せという形で強制的に徴収されます。
交通税のような安易な増税策は、住民の自由と自治を侵害するものです。
まとめると、南議員の懸念は極めて正当で、滋賀県の進める「交通税」構想も「交通ビジョン」も、再考すべきだと思います。
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