【交通税と県議会の攻防・第41回】異例の三委員会合同で批判噴出!交通税モームリ
- 喜多G13

- 5月5日
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今回のポイント
令和8年3月17日、総務・企画・公室常任委員会、文スポ・土木・警察常任委員会、地方創生・公共交通対策特別委員会の三委員会合同で、「滋賀地域交通計画(原案)」について質疑が行われました。
これまでの議論を受け、県は財源スケジュールのグラデーション矢印を削除するなどの修正を施した原案を提示。しかし委員からは「計画の実現可能性が乏しい」「交通税ありきで計画が作られている」「知事が交通税と言い過ぎた」など、根本的な問題を指摘する声が相次ぎました。三委員会合同という異例の場が設けられたこと自体、この計画をめぐる議論が通常の委員会審査では収まりきらない局面に来ていることを示しています。
交通税関連質疑のまとめ
重田剛委員(自由民主党)
財源確保スケジュール表から新たな財源の矢印が削除されたことについて「新たな税の導入を諦めたということか」と質問しました。村上税政課長は「矢印があると令和11〜12年度に税導入が決定しているように見えるとの指摘を受けたため削除した。導入を諦めたわけではなく、引き続き丁寧に議論を積み重ねて検討するという姿勢は変わらない」と説明しました。
河村浩史委員(滋賀維新の会)
県民政策コメントで個人・団体から335件の意見が寄せられ、そのうち約半数の155件が財源に関するものであったことを取り上げ、「これだけ意見が出たのは、計画の中で県の考え方が読み取れないからではないか。財源への不安をどう解消するのか」と追及しました。
村上課長は「骨子案から交通税という名称で打ち出したことで不安を抱いた方から意見が寄せられた。今回の原案では、まず1〜4番の取り組みを進めた上で新たな税について引き続き丁寧に議論していく姿勢をお示ししている」と回答。「どのような結論を得たいのか」と問われると「今後の議論の結果次第であり、現時点でこういう結論を出したいということは考えていない」と述べました。
清水鉄次委員(自由民主党)
公共交通の維持は必要としつつ「間違った情報が広がっている。財源については説明する時間がもっと必要だ。規制緩和も必要ではないか」と問いました。
小林交通戦略課長は「来年度以降もどういう事業に取り組んでいるか、どういった成果が出ているかを発信する取り組みに努めたい。規制緩和については市町からも研究を求める声があり、県として研究を進める。国スポ・障スポ大会で行ったライドシェアのような既に始まっている規制緩和の活用にも取り組む」と答えました。
また村上課長は「骨子案で国・県・市町・事業者含めた2040年代の概算事業額148億円という数字を示したことで、県民140万人で割ると1人当たり1万円の交通税が課されるという受け止め方をされた。資料や数字の出し方がまずかったと反省している」と述べました。
桐田真人副委員長(自由民主党)
「新たな財源として、新たな税(交通税)以外にどのようなものがあるのか。また、この計画は新たな財源に依存しているのか」と質問しました。
村上課長は「寄附やクラウドファンディングなどもあり得るが、安定的な財源として新たな税を例示している。新たな財源がなければ施策が全てできないとも、全てできるとも言い切れない」と答弁。桐田副委員長は「それならば新たな税という記載が財源と直結して見えないように表現を工夫すべきだ。不確定な根拠の中で情報が拡散しており大変憂慮している。財源があるか否かで計画の内容が力不足になるなら、計画としての正当性を失う」と強く批判しました。
森重重則委員
バス運転士の不足数52名をゼロにするという目標について「お金を投じれば人が集まるものではない。全体計画を実現するのに何人必要で、どれだけ集めないといけないかまで考えているのか」と実現可能性を追及しました。
小林課長は「岡山市など処遇改善で一定の効果を上げている事例はある。5年間で何人と定めてはいないが、路線の再構築やダウンサイジング、ボランティア輸送など様々な手段を組み合わせて対応する」と説明しました。これに対し森重委員は「実現可能性が非常に重要で、ここは固めていかなければならない重要なファクターだ」と重ねて訴えました。
川島隆二委員(自由民主党)
「交通税が前面に出過ぎた原因はどこにあるのか」と問うと、村上課長は「施策のコンセンサスを取る前の段階で交通税という言葉が出てしまい、そちらに関心が集中した」と答えました。川島委員はこれを「知事が交通税と言い過ぎたためだ。議会で議論する前からマスコミに話してきたからこうなった。知事は民主党の国会議員時代の2006年から交通税の検討に関わっており、そのときから頭にあって今に至っている」と断言しました。
また「滋賀県はここ30年でバスの利用者が44%減っている。これは車社会になったからだが、この車社会を公共交通へ転換しようとするのは本当に可能なのか。大津市や草津市でも1時間に1本の路線が多い現状で、試算は合っているのか」と問い、さらに「交通の分野だけ財源が足りないから税を取るというのは整合性が取れない。文化施設など他の分野でお金が必要になったとき文化税を作ると言えるのか。財源ありきで議論を進めてはいけない。県民政策コメントを受けてここまで内容が変わる計画はほかにない。この計画自体がよかったのかも含め精査してほしい」と強く訴えました。
東郷総務部長は「御指摘を受け止めたい。誤解を生じさせた説明の経緯については反省し改めていく。まず1〜4番の努力を最大限行った上で、それでも新たな税が必要かどうかを検討したい」と答弁しましたが、川島委員は「誤解ではなく説明の仕方が悪いのだ」と返しました。
柴田栄一委員(滋賀維新の会)
「物価高騰で国では減税や社会保障を議論している中で、滋賀県だけが増税の議論をしていると、移住先に選ばれなくなるのではないか。税は一度導入するとなかなか止められず、どんどん増えていくという性質もある。選ばれない滋賀県になってしまう懸念がある」と訴えました。
村上課長は「暮らしやすさの観点も移住先を選ぶ上で重要で、地域交通が充実すれば移住先に選ばれることもある。国では減税を考えている中で滋賀県が増税を考えていることへの声は届いている。財源についても責任を持って考える姿勢は継続したい」と答えました。
田中松太郎委員(チームしが)
「京都市が市バスの二重運賃を打ち出した。これが実現すると、滋賀県民は京都市内で高い運賃を払いながら、さらに県内の公共交通のために交通税を払う二重負担になる。地域を超えた矛盾が生じる。観光客から財源を得るという考え方もあるのではないか」と指摘しました。小林課長は「京都市の二重運賃については県として状況を注視している」と述べるにとどまりました。
奥村芳正委員(自由民主党)
「19市町のうち、どこの市町の地域交通が充実しているのか具体的に挙げてほしい」と問うと、小林課長は当初質問の趣旨を外した回答をしてしまい、奥村委員から「私が質問している内容が分かっていないのですか。答えられないではないですか」と厳しく批判されました。
続いて「呼び名一つとってもこれだけ変わる。なかなか県民や議会から理解されておらず、慎重に議論してほしいという意見書も提出されている。これだけ時間を費やしてまだ結論が出ないのはいかがなものか」と述べました。
冨波義明委員(チームしが)
「①交通政策の進め方に齟齬があった点について引き続き丁寧な説明を、②税の公平性・平等性だけでなく受益についてもしっかり説明を、③交通政策の責任主体(JRは国、バスは市町)を明確にすること」の3点を要望しました。
感想
三委員会合同という異例の場で、これだけ多くの委員から根本的な問題を指摘されながら、当局は「丁寧に議論を積み重ねる」という答弁を繰り返すばかりでした。川島委員が指摘した通り、知事が議会での議論より先に「交通税」をマスコミに打ち上げたことが混乱の根本原因です。148億円の概算を人口で割って「1人1万円」と受け取られた反省を今さら述べても、その数字を最初に出したのは県自身です。柴田委員の「選ばれない滋賀県になる」という懸念は切実で、移住先として検討していた人が交通税報道で敬遠するリスクは現実問題です。増税を論じる前に、既存事業の無駄を徹底的に洗い出し、情報を完全に公開することが先決ではないでしょうか。



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