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【交通税と県議会の攻防・第32回】「プラスだけ示すのは乱暴」県民の拒絶感と出口なき政策の行方 令和7年6-7月

【交通税と県議会の攻防・第32回】「プラスだけ示すのは乱暴」県民の拒絶感と出口なき政策の行方 令和7年6-7月

今回のポイント

令和7年6月定例会議から7月の委員会にかけて、交通税の議論は「県民の拒絶感」という現実に直面しました。


総務・企画・公室常任委員会は本会議の場で「地域の方の声を聞くと交通税に対する拒絶感を示される方が多く、県民の方が受け止められるところまで醸成されていない」と公式に報告しました。前回の第21回で常任委員会が「導入ありきのイメージが先行している」と報告したことに続く、二度目の組織的な警告です。


白井幸則委員(自民党)は「新たな税で負担が増える滋賀県には行きたくないとなれば、移住も止まる。若者が税金の少ないところで働こうとする。産業人材が流出する」と、交通税が人口流出を加速させるリスクを指摘。「プラスの可能性ばかり示して、マイナスの可能性を説明していないのは乱暴」と厳しく批判しました。

清水ひとみ委員(公明党)は「初めに交通税という言葉が独り歩きしてしまった。県民の受け止められるところまで醸成されていない。急ぎ過ぎという気持ちがしないでもない」と率直に述べました。

そして田中松太郎議員(チームしが)は本会議で、交通税を含む知事の政策群を「出口が見えにくい」と総括し、「知事が言っているからと答える職員が顕著に増えている。県民目線で取り組んでほしい」と、県庁組織の在り方そのものに切り込みました。



交通税関連質疑のまとめ


6月定例会議・本会議(6月19日)

田中松太郎議員は、知事の政策の進め方について根本的な問題提起を行いました。「交通税、北部振興、THEシガパーク、医療福祉拠点など、出口が見えにくく進め方が難しい政策が多い」「職員に県としてどうしたいのかと尋ねると、知事が言っているからと答える場面がここ一、二年顕著」と述べ、知事の概念的な発言が組織の末端で「大きなひずみ」を生んでいると指摘しました。

知事は「出口、行き先はなかなか見えにくいけれども、みんなで考えていく仕事の仕方がこれからの行政に必要」と答弁。田中議員は「知事の考え方には共感するが、現状の組織がそうなっていない」と返し、東副知事に組織運営の改善を求めました。



常任委員会の本会議報告(7月2日)

柴田清行委員長が総務・企画・公室常任委員会の報告として「人口減少が進む中で新たな税の導入は慎重に考えていただきたい」「地域の方の声を聞くと交通税に対する拒絶感を示される方が多く、県民の方が受け止められるところまで醸成されていない」との委員会意見を読み上げました。



総務・企画・公室常任委員会(6月25日)

税制審議会の「みんなの移動を支え、暮らしを豊かにする新たな税」に係る審議スケジュールについて質疑が行われました。


木沢成人副委員長(さざなみ俱楽部)は、公共経済学の理論を県民に理解してもらう必要性を指摘。「このまま突き進むと不毛な対立やハレーションが起きる」「税制審議会の答申には、そもそも租税全体を深掘りする議論をせよという趣旨が入っていた」と述べ、基本的な租税理論の県民への説明を求めました。また「県をまたいで移動する方が多い中で、国税ではない地方税でこの特別税を進めるのは、フリーライダーの問題など理論的に難しい部分がある」と専門的な観点からの懸念も示しました。


重田剛委員(自民党)は「県民に理解してもらうための公平感の説明はどうするのか」と質問。村上税政課長は「公共交通の維持充実が観光や子育て介護など広く受益があることを説明していきたい」と答弁しました。


白井幸則委員(自民党)は、交通税のマイナス面を正面から指摘しました。「税負担が増える滋賀県には行きたくないとなれば移住も止まる。若者が税金の少ないところで働こうとすれば産業人材が流出する。人口が減れば消費も減り税収も減る」と、負のスパイラルに入るリスクを警告。「プラスの可能性ばかり示してマイナスの可能性を説明していないのは乱暴」「悪いスパイラルに入ったら取り返しがつかなくなる」と厳しく追及しました。村上課長は「おっしゃるとおりの部分がたくさんある」と認めました。


河井昭成委員(チームしが)は「個人にどんなサービスが返ってくるのかがイメージできない。社会全体の充実ではなく、一人一人にどう返ってくるかを示せないと先に進まない」と指摘しました。


清水ひとみ委員(公明党)は「交通税という言葉が独り歩きした。県民の拒絶感が多い。反対の学習会(うちの6/7の勉強会も含まれるかと思われます)も一生懸命行われている。県民が受け止められるところまで醸成されていない。急ぎ過ぎという気持ちがしないでもない」と述べ、丁寧な進め方の必要性を訴えました。村上課長は「スケジュールの都度の見直しは当然ある」と応じました。



感想

今回の議論で最も重要なのは、白井委員が提起した「交通税が人口流出を招くリスク」です。これまでの議論では、交通税の費用対効果や合意形成プロセスの問題が中心でしたが、「増税する県には人が来なくなる」という視点は、交通税の根本的な自己矛盾を突いています。公共交通を充実させて人を呼び込むための税が、逆に人を遠ざける。この負のスパイラルの可能性を、県は全く検討していません。

 

清水委員が述べた「拒絶感」という言葉も重いです。

 

田中松太郎議員の「知事が言っているから」という県庁の現状報告は、交通税の問題の本質を示しています。知事の政治的な思いつきが、専門的な検証を経ないまま計画に組み込まれ、職員は「知事が言っているから」と従い、反対意見は「公論熟議で乗り越える」と処理される。この構造が変わらない限り、交通税の議論は県民の理解を得ることなく、形式的な手続きだけが積み重ねられていくことになるでしょう。




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