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「多選批判」で生まれた知事が、なぜ嘉田さんより長く居座るのか ― 三日月大造知事の4選出馬に思う

更新日:3月24日

三日月知事は自分の多選をどう思うのか?
三日月知事は自分の多選をどう思うのか?

2026年2月16日、滋賀県の三日月大造知事(54)が県議会本会議で4選出馬を正式表明した。任期満了は7月19日、投開票は7月5日の予定だ(日本経済新聞、2026年2月18日)。

ここで一つ、問いを立てたい。


三日月さん、あなたはどういう経緯で知事になったのですか?


 

「もったいない」で生まれた、多選批判の政治

 

時計を2006年に戻そう。当時の滋賀県知事・國松善次氏は2期8年を務めた現職だった。そこへ「多選は民主主義のもったいない使い方」と訴えて颯爽と登場したのが嘉田由紀子氏だ。「もったいない」を合言葉に草の根選挙を展開し、見事当選。その清新さは全国的に注目を集めた。

嘉田氏は2010年に2選。そして3期目への挑戦を問われたとき、「多選を批判して当選した自分が3期目を目指せば筋が通らない」という論理的なジレンマに直面した。


 

「私が引き継ぐ」と言って退かせた男

 

その嘉田氏に対し、「3期目に出れば多選批判を受けて自民党に敗れる。私が嘉田県政を引き継ぐ」と説得し、2014年の知事選への出馬を促したのが、当時衆院議員だった三日月大造氏だった。

 

Wikipediaによれば、三日月氏の動きを受けて嘉田知事は2014年4月28日、支持者に対し「嘉田県政を若い人に引き継ぎたい」と述べ、3選不出馬を表明。事実上、嘉田氏の後継指名を受ける形で三日月氏は2014年の知事選に当選した。「チームしが」が結成されたのも、この流れの中だ。

 

つまり三日月知事の誕生は、多選批判を"外から"利用して前任者を退かせた結果として生まれたものである。

 

 

そして今、4選を目指す


三日月氏は2014年初当選、2018年再選、2022年3選。そして今回、2026年の4選出馬を表明した。

4期=16年。嘉田氏が批判した國松知事の「2期8年」の、ちょうど2倍だ。

そして嘉田氏自身は「多選批判」というロジックにより3期目を断念させられた。なのに、その嘉田氏を退かせた張本人が、嘉田氏よりも長く知事の座にとどまろうとしている。

 

三日月氏も自覚はあるのか、昨年8月の会見では「戦後の滋賀県知事で4期務めた例がない事実を引き合いに『長く(知事を)やることの功罪を考えたい』」と述べている(日本経済新聞、2025年8月1日)。考えたうえで、出ると決めたわけだ。

 

 

「引き継いだ」と言ったあの約束はどこへ

 

三日月氏は就任当初「嘉田前知事が掲げていた『もったいない県政』や『卒原発』を継承する考えを表明した」(Wikipedia)。しかし実際には、嘉田前知事の政策である脱ダムを放棄して約1000億をかけた大戸川ダム建設を行い、2018年の再選からは自民・公明両党の推薦も得て与野党相乗りの体制に。「チームしが」の精神的な核だった「草の根・対話の政治」からは大きく様変わりした、と感じている滋賀県民も少なくないだろう。

 

政策的な継承の評価は人それぞれとして、少なくとも「多選を批判した人の後を継いで、その人より長く居座る」という行為の論理的矛盾は、誰の目にも明らかではないか。

 


「もったいない」のは、言葉の軽さかもしれない

 

多選の是非は単純ではない。長く務めることで磨かれる行政手腕もある。三日月氏が推進する「交通税」など政策上の課題もある(日本経済新聞、2026年2月18日)。

 

ただ、政治において「言葉」と「行動」の一貫性は、民主主義の信頼の根幹だ。

嘉田由紀子氏が「もったいない」と言ったとき、それは税金の使い方だけでなく、民主主義そのものへの問いかけだった。三日月氏は「その嘉田県政を引き継ぐ」と言ってバトンを受け取った。

 

そのバトンの中には、「多選は民主主義のもったいない使い方だ」というメッセージも含まれていたはずだ。

 

4選出馬を前に、三日月知事にはぜひ問いたい。

「嘉田さんに何と言って説得したのか、もう一度、声に出して言えますか?」

 

 

参考ソース

 
 
 

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