
出典:財務省ウェブサイト https://www.mof.go.jp/tax_information/qanda020.html
最初にまとめから
住民税には都道府県に納める「都道府県民税」と、市町村に納める「市町村税」があり、それぞれに納税者が全員同額の「均等割」と、納税者の収入によって税額が変わる「所得割」があります。
つまり滋賀県大津市在住の納税者なら「県民均等割」「県民所得割」「市民均等割」「市民所得割」の4つを併せて「住民税」として納めています。
それでは説明を始めていきますね!
住民税とは
住民税は、納める場所によって2種類存在しています。
①都道府県に治める「道府県民税」
②市区町に治める「市区町民税」
の2つです。
計算方式が2種類
その県民税、市民税の中に、2つの計算方式があります。
納税義務のあるすべての方が均等の税額を収める①均等割と、その方の所得に応じて収める②所得割の2種類です。
都道府県民税も市町村民税も、均等割も所得割も、すべて市町村で徴税され、都道府県税は徴税した市町村から県に納税されます。
住民税均等割:全員同じ金額
均等割とは、納税義務のある住民にその所得額に関わらず一定の金額を徴税します。所得や資産の状況によって変動しないため、予算を立てやすいというメリットが自治体にはあります。
道府県税収や市町村税収の1%程度を構成しています。
均等割には基準額があります。
市町村税の均等割:3500円
都道府県税の均等割:1000円
県民均等割の本来の基準額は上記の通り1000円ですが、令和5年までは復興増税500円が加算されており、1500円が基準額となっています。
そこに森林環境税などが付加されます。
■滋賀県均等割
県民税1,000円+復興増税500円+琵琶湖森林づくり県民税800円=2,300円
■大阪府均等割
県民税1,000円+復興増税500円+森林環境税300円=1,800円
所得割:所得により税額が異なる
所得割は、住民税市町村が定めた税率に基づいて、毎年、市町村に住んでいる人が自己の所得の割合に応じて納める税金です。これも県と市区町村でそれぞれ設定します。
道府県税収や市区町村税収のだいたい30%程度を構成しています。
課税標準額は「所得金額ー所得控除金額」です。所得控除の種類は保険料控除や配偶者控除など、控除の種類はほぼ所得税と同様ですが、若干住民税の「控除額」のほうが少なくなっています。
課税標準額の所得割税率分が、所得割税額です。
基準の所得割税率
都道府県所得割 4%
市区町村所得割 6%
課税標準額が1000万の人が居れば、都道府県所得割が40万円、市区町村所得割が60万円。
そこに滋賀県民であれば県税均等割2300円+市税均等割3500円=5800円を足し、1,005,800円が住民税ということになります。
県+市町村の合計10%が基準ですが、名古屋など、一部の政令指定都市では都道府県が2%、市区町村が8%で合計10%です。合計が10%なのは変わりません。
所得割額の税率は、平成18年度までは所得の額に応じて市町村民税(特別区民税)、道府県民税合わせて5~13%の累進課税でしたが、税制改正をきっかけとして平成19年度から税率は一律で合計10%に改定されました。
減税は出来るのか?
都道府県税も市民税も共に基準額や基準割合が決まっていますが、それ以下に設定することもそれ以上に設定することも、所定の手続きが必要となりますが可能です。
総務省で公開されている決算カードを見てください。

この決算カードの見方はおいおい説明させていただきますが、こちらをご覧いただければ真ん中あたりに「個人均等割」と記載されているところが見つかります。
黄色い■のところですね。

滋賀県の個人均等割の超税額は1,667,640,000円(16億円)で、全県税の0.8%と言うことが解ります。
右の真ん中より少し下あたりには「財務調整基金」と記載されているところが見つかります。
青い■のところですね。
財務調整基金というのは言い換えると貯金です。

つまり、滋賀県の財務調整基金は令和2年度では222億円ということになります。
令和2年だと2年以上も前の話になるので、滋賀県の令和5年の予算データを県のホームページから確認したところ、令和5年度末には約168億円の財務調整基金(貯金)が見込まれています。
うーん、減ってますね。贅沢に経費を使いまくっている国スポの開催もありますしね・・・
話を戻しますが、財務調整基金(貯金)の168億という金額は、先ほど見ていただいた令和2年度の滋賀県の決算カードにおける県税「個人均等割」16.6億円の、約10年分に相当します。
理論上、一人2300円の個人均等割を5年程度無料にしたっておそらく問題はありません。
更に無駄遣いを減らし、行政規模を小さくしていくのであれば税収割合の多い所得割や法人均等割や法人所得割の削減にも踏み込んでいけるでしょう。
同じように、市の決算カードも総務省のページから見られます。県の決算カードと同じ場所に市町村の住民税や財務調整基金の記載がありますので、数字を見比べてみましょう。
名古屋市は減税出来た!
全国で唯一減税を行っている自治体である名古屋市では、徴税総額を5%削減しています。
名古屋の市民税減税
個人均等割3500円⇒3300円
個人所得割8.0%⇒7.7%
※政令指定都市のため市民税所得割が8%
先ほど計算した課税標準額が1000万の人であれば、都道府県所得割が2%なので20万円、市区町村所得割が8%⇒7.7%なので77万円(減税前は80万円)。
そこに愛知県民であれば愛知県税均等割2000円+市税均等割3300円=5300円を足し、975,300円が住民税ということになります。
減税したのに名古屋市の税収は伸びたそうです。
どうやって実際に減税を進めるの?
ここは詳しくありませんのでざっくりと書きますが、様々なシミュレーションを行い、可能な金額を算定。またそれを基に減税条例を議会で可決する必要があります。
例)名古屋市減税条例
まとめ
住民税には都道府県税と市町村税があり、それぞれの中に、納税者が全員同額を課税される「均等割」と、納税者の収入によって税額が変わる「所得割」があるということでした。
減税出来るかどうかについては今回は税収が把握しやすいため削減もしやすい個人均等割から見てみましたが、所得割や法人税、法人事業税などの県税や市町村税についても、事務事業の見直しや事前評価によって歳出を絞ることで減税の財源を作ることは可能です。
ですが別の記事でもお伝えしましたが、「減税の予算を作ってから減税」するのではなく、減税ありきで「歳入が削減された」ことを前提に予算を組むことなくして減税はなかなか達成できません。
「減税は良いことだと思うけれど、まず無駄を省いて財源が出来てから」という方は、さも常識的なことを言って減税を避けているだけです。
本当に今の日本に必要なことを考えたら、真の議員であれば減税で負担を減らして国の力を取り戻すことを第一に考えるはず。
福祉よりお金が大事?
国防はどうでもいいの?
違います。
それらの為に、経済を復活させなければいけないフェーズに来ているということです。
経済成長が止まっているから、行政事業の規模が大きいから、規制が多すぎて民間が動けないから、国としてのシステムの成長や政治の成長が止まっているのです。
なにより税金は無駄なことに使われまくっています。それを止めれば減税の財源などすぐに作れます。福祉や治安や国防、医療に影響を出したくなければ無駄遣いを止め、それなりの予算編成をしたらそれでいいだけです。
減税は可能です。
参考
減税が可能かどうか財務調整基金と個人均等割から判断する方法はこちらの動画を参考にさせていただきました。
Comments