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滋賀県の交通事情

交通税の導入が進められている滋賀県はどのようなところでしょうか?他県の方のためにご説明させていただきます。​

  • クルマ社会

  • 30年間赤字の近江鉄道→通学や通勤に利用

  • 市街地の渋滞と過疎地域の交通弱者の問題

  • 湖西線などでのJRの減便

  • 栗東の新幹線新駅の凍結

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ド田舎のクルマ社会

戦国時代、「近江を制するものは天下を制す!」と言われた滋賀は、当時、穀倉地帯としてだけでなく、水運や交通の要衝としての地理的な重要度も高い国でした。大化の改新の中大兄の王子、聖徳太子のゆかりの地でもあり、有名な日本昔話や、古事記・日本書紀の舞台の一部でもありました。

今はそんな戦乱どこへやら。

非常にのどかな田舎の地域のクルマ社会の滋賀。

大阪に出やすく、新幹線もあり、適度に田舎で暮らしやすい。そして琵琶湖がある!私は滋賀LOVEですが​、天気のいい日に山や琵琶湖を眺めるだけで幸せを実感できる。そんな県です。

 

地価も安い為、大阪や京都に通勤する方のベッドタウン的な要素があります。​しかし田舎の県の一つなので、JR駅の近くに住んでいない場合はクルマがなかったら生活が厳しい県です。そのため、現役世帯はそれぞれが車や電車で通勤するため、一人一台車を保有している家庭も多々あります。

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交通渋滞と車がない人

また、車社会であるがゆえに、大津市や草津市などの中心地域で渋滞の問題があります。また田舎地域においては車を運転できない人々の移動が非常に不便です。人口密度の問題でバスや電車では採算が絶対に取れないため、滋賀はクルマ社会にならざるを得ないのです。老人の通院などには介護タクシーや介護施設の送迎車が利用されています。

そして滋賀県は、「滋賀に住んでいても車を手放す選択が出来るような便利な町」を目指しています。

30年間赤字の近江鉄道

そんな滋賀には30年間赤字(令和6年時点)で有名な近江鉄道がありますが、通学や通勤に利用されているので何度も廃線の話が出つつも補助金で延命させています。9路線のうち黒字は2路線のみ。

その近江鉄道は、令和6年4月1日から、行政が近江鉄道から土地や建物、車両などを有償レンタルし、近江鉄道株式会社に運営やメンテナンスを有償で依頼する「上下分離方式」で運営されることになりました。

※車両や設備などの無償譲渡は税金の関係でNGだったそうです

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近江鉄道の経済効果は19億?

上下分離方式になった流れとしては、令和2年3月に行われた第1回近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会にて、「近江鉄道の赤字補填は年額7~8億だが、しかし、近江鉄道を廃止した場合は19億円以上の経費がかかる」とする試算が発表され、「それならば存続させた方が良い」という結論になったそうです。しかしこの試算は「買い物客や旅行客へのタクシー券配布」なども含まれていました。存続前提で数字を作ったのでしょうか?

>>詳細はこちら「上下分離方式とは」

JR湖西線

JR湖西線は、琵琶湖の北側を走る路線で、ドル箱路線と言われる特急サンダーバード(京都⇔北陸)が通過しますが、在来線の利用者は非常に少なく、新快速も普通電車も両方赤字です。

しかし、北陸新幹線の大阪に向けて延線された場合、サンダーバードは廃止が決定しています。JR西日本では、令和5年の段階では、北陸新幹線が開業すると同時に湖西線の経営からは退き経営分離するとの意向を伝えていますが、経営分離については沿線自治体の同意が必要とされています。

高島市や大津市、そして滋賀県は、第三セクター化するのではなくこれからもJRに単独事業として行うよう要請するとのことですが、交通税や交通ビジョンにおいてこの湖西線の安定運行や増便のために経費が割かれる可能性はあるでしょう。

路線図:中日新聞社様より転載

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​負債だけが残った新・新幹線駅

2002年4月、経済発展に必要として、京都駅と米原駅の中間あたりにある栗東市に新しい新幹線の駅「南びわこ駅」を建設する計画を打ち立て、その2か月前に竣工式を行い着工しました。しかし2006年7月の知事選で「需要や経済効果が投資金額に見合わないから凍結すべき」という公約を掲げて県知事に当選した嘉田由紀子氏は、公約通り新幹線駅計画を凍結。しかしその約1年後、再びJRに「やっぱり必要」と伝えたところ拒否され、今に至ります。

このような事情により、県や栗東市、JRなどが数億~数百億円単位で既に相当な投資を行ったにも関わらず、すべてが無駄に。そのため、JRは滋賀県に対して好意的ではないと言われています。

建設凍結中止派は、利便性の少ない新駅では投資額を回収するだけの経済効果は出ない、と主張していました。莫大な経費がかかる上に無駄な部分も多い交通ビジョンは、「今後は経済だけでなく福祉や教育への波及効果(クロスセクター効果)を考える必要がある」という考えのようです。

そしてこの件は私たちに、「行政が県民の声を聴けていないこと」「行政も誤った判断をするかもしれないこと」を考えさせてくれます。

まとめ

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このように、滋賀県の交通事情にはさまざまな課題や複雑な背景が存在しており、それらを解決するために交通税や交通施策の検討が行われています。地域の交通状況や需要の変化、利益等を考慮しながら、最適な交通システムの整備と、縮小や再構築などの改善が求められています。

しっかりと交通戦略の専門家などに話を聞きながら進めると、滋賀県は言うかもしれません。ですがその専門家とされる方々が「公共交通を充実させたい派の学者」や「大手の土木事業コンサルタント」ではないかという不安もあります。

 

そして行政が完璧であるというのはあり得ません。

幻の南びわこ駅のようなこともありますから、大きな負債になることもあり得ます。

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