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【交通税と県議会の攻防・第40回】税ありきか否か?交通税の言い換え


今回のポイント

令和8年2月18日、地方創生・公共交通対策特別委員会が開催され、「滋賀地域交通計画」の原案に向けた見直し内容について当局から説明が行われ、質疑が行われました。

 

主な論点は以下の通りです。①第7章(財源・新たな税)を第6章に組み込む構成変更の意図と内容、②「交通税」から「新たな税」への言い換えの経緯、③計画が「税ありき」かどうかをめぐる根本的な矛盾、④自動運転やKPIの実効性、⑤福祉・他分野との連携、の5点です。

 

担当課は「税ありきではない」と明言しながら「全事業実施には新たな財源が必要」「令和10年度には課税もあり得る」と答弁するなど、矛盾が次々と露呈し、委員から厳しい追及を受けました。




交通税関連質疑や会議のまとめ


森重重則委員の発言

第6章と第7章の入れ替えにより、新たな税に関する記述がどう変わるのかを確認しました。小林交通戦略課長は「税以外の財源確保の取り組みを詳しく記載する方向に改め、財源の考え方もモニタリング対象とするための順番変更」と説明しました。

また、素案で使われていた「新たな税」という表現が原案では「ふさわしい制度」という言葉に変わっている点について質問。村上税政課長は「税制審議会への諮問タイトルに合わせた表現で、断定できる状況にないため、引き続き丁寧に議論を積み重ねて結論を得る考えを示したい」と答えました。

「結論を出さないまま原案を作るのか」と追及すると、村上課長は「5年間の計画期間中に何らかの結論を得ることを目標に頑張りたい」と答弁しました。

 

河村浩史委員(滋賀維新の会)の発言

資料のイメージ図について「①事業者の収入増、②国費獲得、③事業見直し、④優先順位をつけた事業実施、の4つで収支が均衡するなら、新たな税の検討は不要ではないか」と核心をついた質問をしました。


小林課長は「事業を圧縮・先延ばしすれば均衡は可能だが、計画全体の事業を全て実施するには新たな財源が必要」と認めました。「どの事業を圧縮するか現時点で明記できないのか」と迫ると、「全事業の優先順位はお示しできない」との回答でした。

 

「実現可能な計画かどうかが重要で、不確実な部分はできるだけ排除すべき。事業者の収入増や国費獲得についての具体的な試算はあるのか」と問い詰めると、小林課長は「計画の中に事業費を詳細に出すこと自体が新たなチャレンジ」と苦しい答弁に終始しました。

さらに「新たな税が可決されなければ事業の半分以上ができないのでは。計画として破綻しているのではないか」と迫ると、「不確実な部分があることは確か」と事実上認める形となりました。

 

本田秀樹委員(自由民主党)の発言

県と市町でバス等運行対策に充てている補助金の市町別内訳、国への要望の現状と国費獲得の取り組み、市町との連携内容の3点を質問しました。

小林課長は補助金について「県の令和7年度予算額は約2億6千8百万円で、市町別内訳は後日提出する」と答えました。国への要望については「毎年、鉄道・バスへのさらなる支援拡充等を要望しており、近年は有志知事の会の場等も活用している」と説明。市町との連携は「協議会や幹事会を通じて各市町担当者と意見交換を重ねている」としました。

 

続いて「計画骨子案では『交通税』という言葉が使われていたのに、なぜ『新たな税』に変わったのか」と追及。村上課長は「交通事業者への税や移動行為への直接課税と誤解されるため、呼び方を変えた」と説明しましたが、本田委員は「県民はすでに交通税と言っている。言葉をすり替えてもうまくいくとは思えない」と批判しました。

 

駒井千代委員(さざなみ倶楽部)の発言

KPIについて「自動運転の運行地域が5年で1地域から2地域というのは、現状の延長にすぎないのではないか。AIの進展や国の大規模補助を踏まえると、自動運転をもっと主軸にすべき」と問題提起しました。

 

小林課長は「現時点では技術的にバスを代替するのは難しく、レベル2でも手動介入が必要な状態。5年で全てが自動運転になるとは明確に見込めない」と説明しつつ、「大きな技術の進展があれば計画変更も必要」と応じました。

 

「大型バスに自動運転を実装することが重要で、実証と学習を積み重ねることが必要。ロードマップやKPIにもっと分かりやすく盛り込むべき」との意見に、課長は「適切な新たな形があれば事業実施の中で検討したい」と答えました。

また「5年間で実証運行に相当取り組み、県民に見える形にしていくことが必要」と訴え、より加速的な取り組みを求めました。

 

川島隆二委員(自由民主党)の発言

「運転手不足の解消には自動運転を、交通量が少ない地方部から進めることが重要。都市部より地方の路線で増やして、余った運転手を都市部に回す方向でないと現状の自動運転レベルでは難しい」と述べ、計画の自動運転予算が増えていないことを批判しました。


県民政策コメントの受け止めについては「多くの意見が集まったことをよかったと捉えてはいけない。県民が不安に感じているからこそ意見が多かったのだ。これだけ手直しが多い計画は他にない。修正が多いということは計画として不十分という証拠であり、新たな税への引っかかりへの答えが弱い」と厳しく批判しました。


「新たな税を検討することが前提ではないなら計画に載せるべきではない。計画5年間で検討して、5年後以降にまだ資金が足りなければ検討するということではないのか」と問うと、村上課長は「合意形成ができれば5年間の中で課税されることはあり得る」と答え、先ほどの「税ありきではない」との答弁と食い違う場面となりました。


「税政課と交通戦略課で意思疎通ができていないのではないか」と追及すると、村上課長は「そごはない」と断言しながらも「認識のすり合わせと記載の在り方を改めて考えたい」と述べ、事実上の軌道修正を余儀なくされました。


「この計画だけ、お金が足りないから税を取ってでもやるという姿勢が突出しており、新たな税を取るために計画があるように見える」と根本的な問題を指摘。また「常任委員会と合同で幅広く意見を聞く場を設けるべき」と委員長に提案しました。


白井幸則委員長(自由民主党)の確認

「来年度・再来年度は税がないという発言について、両課で意思疎通ができているか」と確認。村上課長は「令和8・9年度は課税できない(条例可決からシステム改修・周知等の準備期間が必要)という趣旨」と説明しました。


「最短で令和10年度から課税の可能性があるか」との問いに、村上課長は「令和8年度中に結論が出れば、令和10年度からの課税はあり得る」と認めました。


税制審議会の認識の変化についても確認。「令和4年度には交通は県民が広く負担するのがふさわしいという答申だったが、認識が変わってきているのでは」と問うと、村上課長は「まだ議論が熟されていないと認識された委員もいると推察する」と答えました。


また、充実事業のスケジュールを1年前倒しにしている点について「早期に財源を確保しないと取り組みが遅れる意図があるのか」と質問。小林課長は「国の経済対策交付金を活用してモデル事業から着手する」と説明しました。


清水ひとみ副委員長(公明党)の意見

「『交通税』という言葉が最初に出て先走ったことが、この計画を難しくしている要因だ。不安に思っている県民が多い中、安心感を与えられる計画でなければならない」と指摘。県民政策コメントに「障害者福祉センターへのバスがなく難病の方が困っている」という切実な声があったことを紹介し、「福祉分野との連携をもっとしっかり打ち出すべき。立ち戻って取り組む気概が必要」と訴えました。

小林課長は「安心できる表現については検討したい」と応じました。


中沢啓子委員(チームしが)の意見

2040年に向けた計画の重要性を述べ、高齢者が最もピークを迎える年であることから医療・介護へのアクセスが大事だと強調。「公共交通を使うことで楽しみが増える、暮らしの中に楽しみを持ち込む計画になってほしい」と述べました。


自動運転バスへの試乗体験から「乗ること自体が楽しい」と感じたと語り、様々な地域での展開を要望。空飛ぶタクシーについても「思ったより早く実現するかもしれない。移動するだけでなく楽しむという視点を加えてほしい」と述べました。


また「新たな税について結論を得る際には、物価高など社会状況の変化も踏まえるべき」と要望。京都新聞が衆院選出口調査に合わせて実施した交通税の賛否調査(賛成・どちらかといえば賛成が約4割、反対・どちらかといえば反対が約3割)についても取り上げ、村上課長は「一つのデータとして受け止めるが、これを受けて何か判断することは考えていない」と述べました。

 

感想

「税ありきではない」と繰り返しながら、「全事業には新たな財源が必要」「令和10年度からの課税はあり得る」と認める——この矛盾は委員の追及によって明確に露呈しました。「交通税」を「新たな税」と言い換えたことへの批判も的を射ています。どれだけ言葉を変えても、実態は変わりません。修正だらけの計画、不確実な財源見通し、優先順位すら示せない事業一覧——増税の前に、既存事業の徹底見直しと情報公開が先決ではないでしょうか。


 

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